放送前から大きな反響を呼んだドラマ『3年C組は不倫してます。』(日本テレビ系)。高校生の妊娠、不倫といった多様な恋を描くサスペンスである本作は「不倫の恋にあんな報いが待っているなんて」という台詞で幕を開け、既婚者が未成年にパパ活を迫るシーンも。
もちろん高校生との不倫はあり得ない行為ですが、40代が高校時代を思い起こしてみると、当時は不倫している同級生が多数いたように思います。
「大人が女子高生を餌食にする構図は昔から変わらない」と眉をひそめるのは、高校時代に不倫に巻き込まれた経験を持つすみれさん(仮名・43歳)。注意喚起の意味を込めて、青春を黒歴史に変えたクズ男との思い出を語っていただきました。
◆「大人の恋愛では普通のこと」甘い言葉を信じてしまった
幼い頃から芸能界に憧れを抱いていたすみれさんは、高校2年生のときに地元の小さな劇団サークルに参加。整った顔立ちと、稽古に真剣に打ち込むまじめさから早々に主要メンバーに抜擢され、団員と過ごす機会が増えていきます。
稽古後に食事に行ったり、休日に映画や舞台を観に行ったりと交流を深めるうちに、社交的なイケメン社会人の章司さん(仮名・当時23歳)とお付き合いをすることに。
「章司さんは友人の姉とも仲が良く、入団初日から積極的に話しかけてくれたり、稽古の後も残ってアドバイスしてくれたので、とても信頼していました。ある日、打ち上げの帰り道でホテルに誘われて……。すごく動揺したのですが、きちんとお付き合いするなら良いかなって」
同級生との恋愛経験しかなかったすみれさんは、体の関係から始まることに抵抗がありましたが、「大人の恋愛では普通のことだよ」「愛しているからこそ、すみれが欲しいんだ」と真剣なまなざしで語る章司さんの言葉を信じ、少し背伸びをした“大人の恋愛”に身を投じる覚悟を決めました。
◆付き合うも「関係を誰にも言わない」という約束に…
体を重ねた後、章司さんはすみれさんに対し、「ほかのメンバーが気を遣う」「相手役がやりづらくなったり、いい役がもらえなくなったりする」と、サークル内の誰にも言わないという約束を迫ります。
劇団に誘ってくれた友人の姉の耳にも入らないよう、周囲の友達へも内緒にするようにと言われたそうです。
◆別の女性との関係が発覚。19歳を妊娠させた?
「悪いことをしているわけではないのに? という気持ちもありましたが、私のためでもあるし、真剣に演劇をしているメンバーにも迷惑をかけたくないという章司さんの熱い思いに押され、誰にも言わずにこっそりとお付き合いを続けました」
体を重ねるたびに「すみれは最高だ」「演技にも艶が出てきている」と言う彼に促されるまま、稽古の後は食事を楽しんでからホテルへ。
秘密の交際は1年近く続き、やがてすみれさんは進学のため地元を離れることに。仲の良い団員が送別会を開いてくれることになりましたが、当日来てくれると思っていた章司さんの姿はどこにもありません。友人の姉にそれとなく尋ねたら、「子供が産まれて来られなくなった」と……。
「子供ってどういうこと? 結婚してたの!? 私は不倫相手だったってこと?って、頭の中は大パニックですよ」
聞くと、章司さんは半年ほど前に、職場のアルバイトで19歳だった女性と授かり婚をしたそうです。ただし、知っているのは友人の姉を含むごく一部で、「ほかのメンバーに迷惑をかけたくない」と口止めされていたのだそう。
◆二股どころか、不倫相手にされていた
「思い返せば、半年くらい前って、受験勉強に専念してほしいからって会う回数を減らされていた時期なんですよね。その前後から連絡がつかないときも増えていて、もしかして浮気してるのかなって不安になったこともありましたが、まさか結婚しているなんて思いもしませんでした」
サークルの秩序を理由に交際は隠され、会えば「オトナの恋愛」を迫られる日々。しかも二股をかけられていたうえ、知らぬうちに不倫相手にされていたすみれさん。
ショックと悲しみから章司さんとは連絡を取ることなく地元を後にしますが、結婚や子供の事実がバレていないと思っている章司さんは、その後も「すみれが恋しい」「いつこっちに戻ってくる?」と彼氏ヅラで連絡し続けてきたそう。
◆怒りが爆発! 「すべてを話してやりました」
「一度も返信していないのに、ゴールデンウィークや夏休みといった大型連休が近づくと頻繁に連絡がくるんです。私が帰省するタイミングで関係を持ちたいという魂胆が見え見えで。バカにされてる悔しさと、奥さんも子供もいるのにという思いからついに怒りが頂点に達し、友人の姉にすべてを話してやりました」
驚いた友人の姉が章司さんを問い詰めたところ、すみれさんの前後にも女子高生の団員と二股や不倫を繰り返していたことが判明。
授かり婚をした妻も出会った当初は高校生だったそうで、サークル思いの社交的なイケメン社会人だと思っていた彼の本性は、女子高生ばかりを見境なくたらし込むクズ男でしかなかったのでした。
しかも発覚当時に付き合っていた団員の女子高生は、不倫とわかっていながら交際していたそうです。
「関係が明るみになったことでその子も章司さんも退団しましたが、のちに元団員の子が妊娠して高校を中退。奥さんとドロ沼の3者バトルを繰り広げた末、章司さんは奥さんと離婚して、すぐに元団員の子と再婚したとうわさで聞きました」
◆クズ男の身勝手さを許せない。青春を返せ!
章司さんとの恋愛がトラウマとなったすみれさんは、男性を信用できなくなり、その後の恋愛でかなり苦労したと言います。
「生理中でも求めてきたり、避妊もろくにしてくれなかったり、聞こえの良い言葉を並べて自分の性欲を満たす最低な男でした。
今ならおかしいと思えることも、恋愛経験の少ない高校時代に『大人の恋愛とはこういうもの』と言われて信じてしまったんですよね。今思い返しても許せなくて、私の青春を返せ! という気持ちです」
一歩間違えば退団に追い込まれた女子高生と同じ道を歩んでいたかもしれないすみれさん。
言葉巧みに近づいて、心と体を弄ぶ卑劣な男に人生を狂わされないためにも、「たとえ真剣に愛を語ってきても、交際を隠そうとする男には絶対に関わっちゃダメ!」と力を込めたアドバイスを残してくれました。
<文/はつ>
【はつ】
各々が遭遇した小説より奇なる日常にスポットをあてるフリーライター。趣味は心理学的観点からの人間観察と全国の赤提灯巡り