【ロンドン時事】日本の酒類が人気を集めている英国で、日本酒などに認知度で一歩譲る焼酎の蔵元が、バーへの売り込みに力を入れている。有名バーテンダーが提供する「新作カクテル」で焼酎の魅力を紹介。ジンなどのスピリッツと並んでバーに定着する酒になることを目指し、カクテルに合う新商品の開発も進む。
「焼酎になじみがない人に、カクテルをきっかけにして知ってほしい」。英国での認知度を高めようと、焼酎メーカーの浜田酒造(鹿児島県いちき串木野市)は、バーテンダーが新作カクテルに合わせる酒を常に研究していることに着目し、アルコール度数40度の芋焼酎を新開発した。ライチのような芳醇(ほうじゅん)な香りが特徴だ。
品評会での評価も高く、9月中旬にロンドンの高級ホテルのバーで焼酎セミナーを開催。営業を担当する下尾崎一仁さんは「焼酎の市場規模は小さく、他の蒸留酒が多く消費されている」と語る。ただ、ジンなどとともにカクテルに合う酒として「英市場にしっかり入り込みたい」と、バーでの消費拡大に期待している。
焼酎「いいちこ」で知られる三和酒類(大分県宇佐市)も今月上旬、米国や香港の有名バーテンダーを招き、焼酎ベースのカクテルを提供するイベントをロンドンで開いた。インフルエンサーのバーテンダーがグラスに注ぐ「作品」が注目され、英国で焼酎が知られることを望んでいる。
イベントで焼酎カクテルを振る舞った、シンガポールのトップバーテンダー、シリア・スコンラッドさんは「幾重にも香るユニークなお酒」と焼酎の魅力を語る。カクテルを初めて味わったというロンドン在住の会社員、サリナさんは「本当においしい。また楽しみたい」と話した。