妖怪や幽霊、怨霊を入り口に宗教や歴史への興味を深めてもらおうと、京都市内の宗教者らが力を入れている。7月には僧侶や研究者が怪談を語る「怪異フェスタ」を左京区の寺で初開催し、ファンが背筋を凍らせた。今後は学会も設立し、定期的なイベント実施やグッズ開発を目指す。
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学会「妖怪サミット」(仮称)設立を目指すのは、フェスタを企画した白糸酒造(京都府宮津市)と、ユーチューブで寺社を紹介している会社「神社仏閣オンライン」社長の河村英昌さん(31)のほか、会場を提供した妙満寺執事の湯原正純さん(49)も協力する。
フェスタには「京都怪談巡礼」著者の堤邦彦さんや「怪談和尚」として活躍する僧侶の三木大雲さんらが登壇。湯原さんは妙満寺に供養されている鐘にちなむ「安珍・清姫伝説」を披露した。延べ約200人が来場し、「密な話を聞けた」「近くの観光地も巡れた」との感想が寄せられた。
おどろおどろしいテーマをあえて取り上げる背景にあるのは、「怪談から人間のはかなさを感じ、それを包む宗教に関心を持ってほしい」(湯原さん)との思いだ。妖怪の正体は、精神的に完璧になれない人間の怨念や不安、恐怖の具現化と捉え、信仰によりこうした「怪異」が和らげられると説く。ひいては寺社を身近に感じてもらえたらと願う。
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河村さんも「怪異が生まれた歴史的背景を分かりやすく伝え、日本文化の発信につなげたい」と望む。
11月末ごろに開催予定の第2弾イベントに向けて構想を練るほか、学会設立に向け、漫画やアニメファンといった幅広い層が関心を持つような仕掛けにも取り組みたいと張り切っている。
(まいどなニュース/京都新聞)
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