オーストラリア大陸最高峰のRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップに向け、先月にも2026年からの本格参戦を表明したトヨタ・オーストラリアは、マウントパノラマのピットガレージにてトヨタ・ガズーレーシング・オーストラリア(TGRA)が支援するA90型『GRスープラ』のフルサイズ(1/1)クレイモデルを公開。現行Gen3規定に準拠する車体は、メルボルンに本拠を置くトヨタ・デザイン・オーストラリアが設計製作を担当している。
シリーズ最大の祭典『レプコ・バサースト1000』のレースウイークに披露されたこの最新モデルは、その車名をもじって“Supercars(スーパーカー)”ならぬ“Supracar(スープラカー)”とも呼ばれ、トヨタのRSC参入計画が大々的に発表された後に初披露されたこともあり、週末を通じてガレージ内に展示されたことでファンの熱い注目を浴びることとなった。
車体の半分はクレイモデル、もう半分は「A90」のレタリングも入る世界的におなじみのGRスキームをまとったボディワークは、トヨタ・オーストラリアのセールス・マーケティング、フランチャイズ事業担当副社長を務めるショーン・ハンリーと、同じくトヨタ・デザイン・オーストラリアのシニアマネージャーであるニック・ホギオスによってアンベイルされた。
「当社のデザインチームはこのクルマを大幅に強化し、すでにトラックでの勝負を制覇したかのようなルックスを具現化し、ファンにGRスープラのパフォーマンスに対して新鮮な視点を提供することを目指した」と語ったホギオス。
「我々は何よりもまずモータースポーツの愛好家であり、このGRスープラ・スーパーカーは豪州チームが取り組むことを夢見ている種類のプロジェクトだ。このクルマがスーパーカーで競い、ここバサーストで勝利するのを見る日が待ち切れないね」
■スーパーGT GT300車両でのノウハウが活きる可能性
現在はフォード陣営の一翼を担うウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド(WAU)が、新たなホモロゲーションチームに選定されているが、トヨタとしてはそのラインアップに加わる2番目のチームを模索しており、参戦初年度から少なくとも4台を投入する計画だ。
「スーパーカーの熱戦や、世界中の他のレースやラリーシリーズに参加することで、スポーツカーだけでなく当社の全車種の開発に活かせる技術的な知識が得られます」と続けた副社長のハンリー。
「この新プロジェクトにより、GRシリーズに対する熱狂的なファンの情熱をさらに高め、当社のブランドを初めて知る人々を含むモータースポーツファンの興味と興奮を生み出すことを楽しみにしています」
「また、モータースポーツというプレッシャーのかかるチームワーク環境で、自社の従業員を巻き込み、スキルを向上させ、新しい能力を身に付けられるようにしたいと考えています」
「地元のデザイナー、モデラー、エンジニアがGRスープラ・スーパーカーで得た経験は、モータースポーツが何を達成できるかを示す完璧な例になるでしょう」
まだシェイクダウンの日程までは明らかになっていないものの、この『トヨタGRスープラ・スーパーカー』は自社ラインアップのうちオールアルミニウム製の5.0リッター・クアッドカム(4バルブ)V8となる“2UR-GSE”をベースラインエンジンとして使用し、現在のスーパーGTでGT300規定車両に搭載されるレーシングユニットの開発ノウハウが盛り込まれる可能性もある。
これによりGen3規定で先行する第7世代『フォード・マスタング・スーパーカー』は5.4リッター・デュアルオーバーヘッドカムV8の“コヨーテ”を搭載し、同じくGMシボレーの『カマロZL1スーパーカー』は自然吸気燃料噴射式5.7リットルの“LTR V8”を積むことから、全車が同大陸の魂でもあるV型8気筒エンジンで勝負を繰り広げることになる。