2024年6月、福岡県のとある地域の草むらからか細い子猫の鳴き声が聞こえてきました。どうも親きょうだいは一緒にいない様子です。
鳴き声はしばらく続き、心ある近隣の人が「助けてあげたい」と立ち上がりました。後に地元のボランティア団体、わんにゃんレスキューはぴねすも捕獲に参加することになり、団体の代表はまず、子猫がいるという草むら付近に向かいました。
草むら→クルマの往来がある道路→民家の庭へ
代表が現場に到着し、近隣の人に話を聞くと、草むらにいた子猫は自ら外に出て車の往来がある道路に出たと言います。ヒヤッとしますが、その後子猫は民家の庭へ。今度は民家の庭から子猫の鳴き声がするようになったとのこと。
しかし、この民家の家主さんは留守で、助けようと立ち上がった人と代表は、しばし庭の中を覗き込みつつ周囲をウロウロ。普通に見れば「不審者」という感じですが、やむを得ません。やがて家主さんが帰宅し事情を説明すると、「それは大変」と快く捕獲に協力してくれ、なんとかして子猫を無事に捕獲することができました。
|
|
捕獲に関わった心ある人たちは誰もが「小さい命を救えて良かった」とホッと胸をなで下ろしましたが、一方で、この子猫を迎え入れられる人は誰もおらず、そのまま代表が自宅に連れ帰り、代表の家族みんなでお世話することにしました。
命の恩人を前にしても警戒心が解けず「シャーシャー」
子猫は黒と茶色の被毛が入り混じるサビ猫。生後2 カ月ほどで、後に付けられた名前はさっちゃん。代表の家に来てからも警戒心丸出しで人間が近寄ってくれば「シャーシャー」と威嚇。
「命の恩人なんだからもっと仲良くしてくれない(笑)?」と笑う代表でしたが、その優しい気持ちはやがてさっちゃんに伝わり、次第に甘えるようになりました。
福岡から和歌山まで代表自らさっちゃんをお届け
後にさっちゃんの里親募集を呼びかけたところ、程なくして「迎え入れたい」という声がかかりました。和歌山県に住む猫好きの女性で、複数の先住猫がいる家とのこと。
当初女性は地元の保護ボランティアさんを訪ね、そこにいる保護猫を飼おうとしたものの、そこにはたくさんの子猫がおり、「『1匹だけを選ぶ』ということは、『他の子たちを選ばない』ということではないか」と自問自答。複雑な気持ちを抱え、そのまま断念した経緯があるとも。
|
|
しかし、今さっちゃんが置かれている状況はひとりぼっち。「それなら複数の先住猫がいる家に来て幸せにしてあげたい」と、迎え入れを申し出てくれたそうです。
女性の優しい気持ちに心を打たれた代表は、そのままさっちゃんの譲渡を決定。代表自ら、福岡から和歌山まで新幹線に乗ってさっちゃんを届けに行きました。
心ある人たちの「命のバトン」が幸せに繋がった
和歌山の女性の家に迎えられたさっちゃんは、フレンドリーな先住猫に挨拶され、まんざらでない様子で、保護当初に見せた「シャーシャー」の威嚇はいっさい見せませんでした。そして、この女性の明るく優しい思いも感じ取ったのかすぐに心を開き、ゴロゴロと甘えるようにもなりました。
心をある人たちの連携で、福岡から和歌山へと渡り幸せをつかんださっちゃん。これからの猫生は、ひとりぼっちではなく複数の先住猫たちと一緒です。いつまでも幸せに過ごしてほしいと思いました。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
|
|