菊花賞当日の京都芝1800mで行われる新馬戦が「伝説」と呼ばれるようになったのは2008年。1着アンライバルドが皐月賞1着、2着リーチザクラウンが日本ダービー2着、4着スリーロールスが菊花賞1着と牡馬クラシックで大活躍。3着ブエナビスタに関しては阪神JF、桜花賞、オークスを勝ち、古馬になってからもジャパンCなどのGIを勝った。
それ以後の「菊花賞デーの京都芝1800m」はどうかというと、2008年のようなことはない。ただ、2015年マカヒキと2020年シャフリヤールの新馬勝ち馬がダービー馬になっているので、注目すべき番組であることは間違いないだろう。
【10月19日(土) 京都ダート1800m】
◆ダノンヴェステル(牡、父American Pharoah、母マダムヴェステル、栗東・高柳大輔厩舎)
現2歳で活躍する父産駒に小倉ダート1000mの未勝利戦をレコード勝ちし、続くヤマボウシ賞も勝っているアメリカンビキニ(栗東・斉藤崇史厩舎)がいる。
本馬は8月8日にゲート試験を合格しているが、この時は「全体的に緩い」ということで成長を促すための放牧へ。今回、帰厩してからは「前向きさが出てきましたね」と追い切りでも良い動きを見せている。「American Pharoahの産駒って揉まれるとどうか、なんて言われたりすることもありますが、この馬はそういったところは大丈夫じゃないかという動きを見せています」ということなので、実戦でどのような走りを見せてくれるか楽しみ。
【10月19日(土) 京都芝1400m】
◆オメガショータイム(牡、父レイデオロ、母ファミーユボヌール、栗東・松永幹夫厩舎)
母ファミーユボヌールは現役時代に同厩舎で管理されて、芝で4勝を挙げている。半兄オメガモーニング(父ブリックスアンドモルタル)は1戦でJRAのキャリアを終えているが「すごく気性が難しかったんですよ。でも、この馬はそんなことはないですね」と松永幹夫調教師。
本馬は9月20日にゲート試験を合格した後、栗東に在厩して調整。10月2日の坂路で4F52.3秒をマークしたかと思うと、10月9日のCWでは6F82.1秒をマーク。「いいスピードがありますね」と師の感触も上々。母が果たせなかった新馬勝ちを狙う。なお、鞍上は武豊騎手が予定されている。
【10月20日(日) 京都芝1800m】
◆パーティハーン(牡、父Wootton Bassett、母グリーンバナナズ、栗東・友道康夫厩舎)
父は現役時代にジャンリュックラガルデール賞でG1を勝利。本馬は2023年セレクトセール1歳にて、2億7000万円(税抜き)で落札されている。
7月11日のゲート試験に合格した後、牧場へ戻って調整し、9月中旬から栗東で追い切りを開始。9月26日にCWで6F85.7秒をマークした脚ならしから始まり、10月2日のCWではハーパー、アドマイヤテラといった格上相手に食い下がる動きを見せた。10月9日のCWではレースでも騎乗予定の川田将雅騎手が跨り、ジャスティンミラノと互角の動き。6F80.8秒、3F36.1秒、1F11.2秒と素晴らしい数字をマークしたが、目一杯走っての時計だけに現状では動き切れないのかも知れない。ただ、持っているものは相当なので、現状でどのようなパフォーマンスを見せることができるかだろう。
◆ヤマニンブークリエ(牡、父キタサンブラック、母ヤマニンプードレ、栗東・松永幹夫厩舎)
半兄に同厩舎で管理され、未勝利と1勝クラスを連勝して今年の神戸新聞杯に出走(8着)したヤマニンステラータ(父サトノダイヤモンド)がいる。母系にヤマニンサルバム(父イスラボニータ)やヤマニンウルス(父ジャスタウェイ)といった今年の重賞勝ち馬がいる血統でもある。
本馬は9月26日にゲート試験を合格し、そのまま栗東に在厩して調整。10月2日の坂路では2F24.9秒、1F12.3秒をマークして2歳1勝クラスに先着。10月9日のCWでは古馬1勝クラスと新馬との3頭併せを一番後ろから追いかけて古馬1勝クラスには追いつけなかったものの、新馬には追いついて、6F81.5秒、1F11.6秒をマーク。「追い切りの動きがいいですし、実戦でも動きそうなタイプ。馬体重は520キロくらいで幅がありますね」と松永幹夫調教師。今週、レースでも騎乗予定の武豊騎手が跨って追い切り、その感触で最終的な出否を決める予定となっている。
(取材・文:井内利彰)