ハービンジャー産駒の“例外” 二冠牝馬チェルヴィニアを支える名牝系の活力

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2024年10月15日 20:00  netkeiba

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秋華賞を制したチェルヴィニア(c)netkeiba
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る秋華賞

【Pick Up】チェルヴィニア:1着

 ハービンジャー産駒は秋華賞に計7頭出走し、チェルヴィニアとディアドラが1着、ナミュールが2着、モズカッチャンが3着と、半数以上が馬券圏内に入っています。

 父ハービンジャーは現役時代にイギリスで走り、4歳を迎えて本格化。キングジョージVI世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12ハロン)を11馬身差でレコード勝ちしました。完成が遅めの芝中距離タイプです。

 産駒はこれまでに国内外の平地GIを計10勝していますが、うち9勝を3歳秋以降に挙げるという晩成傾向が見て取れます。唯一の例外はチェルヴィニアのオークス。

 早期に世代最高レベルに達したのはハイレベルな能力の証明であり、3歳夏を越してハービンジャーの娘らしくさらにパワーアップし、秋華賞を勝ちました。まだまだ上を目指せるのではないかと思います。

 ノッキングポイント(新潟記念)の半妹で、母チェッキーノはフローラSを勝ち、オークスでも2着と健闘した活躍馬。2代母ハッピーパスの直系子孫は、JRAで計20頭出走して17頭勝ち上がり、うち14頭が2勝以上を挙げるという尋常でない活力を誇ります。

 2018年以降の秋華賞は、オークスからの直行組が台頭する傾向が見られ、なかでもオークス馬は6戦4勝、3着1回、着外1回という成績。3着と敗れたスターズオンアースはスタートで出遅れる不利がありました。

 また、13着と敗れたユーバーレーベンはオークス後に屈腱周囲炎を発症したため万全の体調とはいえませんでした。体調面に問題がなく、レース中に不利がなければ、いずれも1着となっています。

◆血統で振り返る府中牝馬S

【Pick Up】ブレイディヴェーグ:1着

 1着ブレイディヴェーグ、2着シンティレーションと、ロードカナロア産駒がワンツーフィニッシュを決めました。

 今年に入って重賞を勝ったロードカナロア産駒は、芝短距離のサトノレーヴ(キーンランドC、函館スプリントS)、芝中距離のベラジオオペラ(大阪杯)とブレイディヴェーグ(府中牝馬S)、ダートのエンペラーワケア(根岸S)、障害のジューンベロシティ(東京ジャンプS)とタイプが幅広く、その父キングカメハメハに似てきた感があります。

 母インナーアージはミッキークイーン(オークス、秋華賞、阪神牝馬S)の全姉にあたる良血。ちなみに、府中牝馬Sのすぐ後に行われた東京12Rも、ミッキークイーンの4分の3弟ニュージーズ(父リアルスティール)が勝っています。2代母ミュージカルウェイの直系子孫は、JRAで出走した20頭中13頭が勝ち上がっています。

 ブレイディヴェーグは母方にサンデーサイレンスを持ち、なおかつヌレイエフのクロスを持つロードカナロア産駒なので、女傑アーモンドアイと配合構成が似ています。

 2着シンティレーションは、サドラーズウェルズ(ヌレイエフと4分の3同血)とサンデーサイレンスを併せ持つので、配合のアウトラインがブレイディヴェーグと似ています。

 この場合の「4分の3同血」とは、父が同じで母同士が親子という関係です。いま売り出し中の新種牡馬サートゥルナーリアも、シンティレーションと同じく母方にサドラーズウェルズとサンデーサイレンスを併せ持ちます。

 ヌレイエフ、その4分の3同血サドラーズウェルズ、その全弟フェアリーキングは、ロードカナロアと相性良好。このパターンは一口やPOGで馬を選ぶ際の配合的指針となります。

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