今回は、年金を月8万円しかもらえなかったら、どうやって生活をしたらいいかという質問に、専門家が回答します。
Q:将来、年金を月8万円しかもらえなかったら、どう生活したらいいの?
「私の年金見込み額は、月8万円ほどです。貯金も少なく、どうやって生活をしたらいいですか?」(52歳・一人暮らし・派遣・男性)A:収入と支出を把握して生活コストのダウンサイジングをし、できるだけ長く働いて収入を増やすようにしましょう
総務省の「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、高齢者単身世帯の生活費は、月15万円が目安になると思います。相談者の年金収入は月額8万円。つまり毎月7万円足りません。もちろん必要な生活費は全員同じではありませんが、年金収入で生活するために、必要な金額をできるだけおさえられないかを働いているうちから考えておきましょう。
たとえば、月12万円で暮らすことができれば、年金収入が8万円の場合、貯金からのカバーは月4万円ですみます。
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(1)収入を増やす
(2)支出を減らす
(3)運用する(お金を増やす)
最初は「(2)支出を減らす」が始めやすいと思います。つまりできるだけ節約をして、貯金が増えるような生活を送ることです。
生活費のダウンサイジングをするには、まずは家計の収支をしっかりと把握しましょう。
このときに食費を切り詰めるなどストレスを伴う節約は長続きしないだけでなく、結局リバウンドにつながります。一方で、保険料や通信費などの固定費の節約は、一回見直すだけで効果が高いまま続くので、すぐに取り掛かりましょう。
そして、相談者は52歳ですので「(1)の収入を増やす」という方法も考えておくといいでしょう。50代のうちから副業などをするなどして、収入をできるだけ得ておき、老後の蓄えにしましょう。
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65歳以降、年金受給開始してからも、厚生年金に加入しながら働いて収入を得ると、より老後の不安が軽減されることと思います。ただし、年金をもらいながら厚生年金に加入すると、老齢厚生年金と給与収入によっては、老齢厚生年金が一部もしくは全額支給停止になることもありますので把握しておきましょう。なお、老齢基礎年金が減らされることはありません。
働くことは収入のためだけではありません。社会とのつながりもできますし、仕事をすることで感謝されたり、知り合いや友だちができたりと人生の充実につながります。実際に、65歳以降も働く人は増えています。働き続けることで得られるメリットは大きいと思います。
お金がある程度貯まったら、(3)のお金に働いてもらう、という手段をとることもできます。金利の良いネット定期や個人向け国債などを使って、金利収入を得るという方法も考えられます。
まずは、生活のダウンサイジングから取り組んでみてください。
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都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)