花王とコーセーがデザインコンテスト実施 化粧品からのアップサイクルボールペンで多摩美生が制作

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2024年10月16日 20:01  Fashionsnap.com

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 花王とコーセーは、多摩美術大学の学生を対象に、商品に至らなかったメイク品をアップサイクルした水性ボールペン「SminkArtペン(スミンクアートペン)」を用いたデザインコンテスト「Makeup Art Pen Award 2024」を開催した。10月9日に最終審査会を行い、グランプリに美術学部グラフィックデザイン学科の関原優奈さんの作品「バタフライエフェクト」を選出。グランプリを含む計10人の受賞作品は10月31日まで「Maison KOSÉ(メゾン コーセー)」の原宿・ハラカド店と銀座店で、11月4〜15日には花王本社に展示する。

 今回のデザインコンテストは、2021年から進めている両社の化粧品事業のサステナビリティ領域における協働第1弾「絵具などへの化粧品再生利用の取り組み」の一環で、「環境保護・循環社会の実現に貢献する取り組み」を推進するもの。「彩りがひらく、未来」をテーマに、「スミンクアートペン」の赤・青・黄の3色のみで制作された作品を募集し、約80作品の応募があった。
 花王の前澤洋介 上席執行役員 化粧品事業部門長は、「メイク化粧品をアップサイクルした絵具などの色材を製造・販売するモーンガータ社の活動に賛同し、品質追求·品質管理の過程で最終的に商品にならなかった花王とコーセーのメイクアップ化粧品が3色の水性ボールペンに生まれ変わった。化粧品独特の色合いやパール材を活用していることから、ボールペンにもきらめきが表現されている。今回のデザインコンテストでは3色だけでどこまで可能性を広げられるかという点は審査する上で特に重点をおいた。このボールペンの画材と学生の才能が合わさることで無限のパワーを感じてほしい。またコンテストを通じて、両社が行っている資材循環や環境保護の取り組みを1人でも多くの人に知ってほしい」と述べた。
 またコーセーの原谷美典 取締役 経営企画部長は、「『彩りがひらく、未来』というテーマをそれぞれの感性で捉え直し、どの作品も化粧品ならではの画材を活かした独自の魅力を放つものばかりだった。学生の作品を通して、化粧品の中身が違う形として活躍できるという、化粧品とアートの新たな関係に気付くきっかけになるだろう。そしてモノを大切にすること、ひいては環境保護や資源循環のことまで考えるきっかけになれば嬉しく思う」とコメントした。
  グランプリに輝いた「バタフライエフェクト」は、蝶の羽をモチーフに作成。制作した関原さんは、蝶の鱗粉は拡大するとモザイク画のように独特で美しい模様を生み出し、その色や大きさの異なる一つひとつが重なり合い模様に成長する様子が、多様性が認められるようになった現代と共通点があると感じたという。「一人ひとりの個性によって美しく彩られた蝶が軽やかに羽ばたき、未来で大きな変革を起こしてほしいという気持ちを込めました。スミンクアートペンは透け感がきれいで、重ねることでいろんな色を出すことができます。色の重なりや、遠目から見たときのきらきら輝く蝶のようすを表現することができ、新しい絵の具を買ったときのようなワクワク感で描き切ることができました」と話した。
 そのほか花王賞には美術学部グラフィックデザイン学科の宇佐美流華さんの作品「beautiful」を選出。同作品は、化粧品が人を美しく彩るだけでなく環境も守ることができることから、女性の顔をメインに描き、そこから自然や動物につながるデザインにしたという。コーセー賞には同学科の吉澤舞さんの作品「おえかき、おしゃれ、それから、それから」が受賞。同作品は子どもの頃に思い描いていたワクワクするような未来を表現するために、「忘れてしまっていた純粋な気持ちを思い出しながら、過去の私と未来の続きを描く情景」を創作した。そのほか、多摩美大賞には同学科の川村汐音さんの作品「私たちの未来」が、SminkArt賞には同学科の増村朋美さんの「繋げる、繋がる」が受賞した。
 モーンガータの水性ボールペン「スミンクアートペン 」は、2025年春に一般発売する予定で、全国の雑貨店など約150店舗での取り扱いを予定する。
(ライター 中出若菜)

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