サッカー日本代表に膨らむ疑問――新陳代謝が進まぬチームをよしとする森保監督の言葉に萎えた

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2024年10月17日 10:01  webスポルティーバ

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 何となく悟ってはいたことでも、あらためてはっきりと口にされてしまうと、正直萎える。

「大幅にターンオーバーすることが、選手のコンディションを考えたら、もしかしたら正解かもしれないが、トレーニングでゼロに戻してイチから始めることが、勝利の確率を上げられることになるのか。最終予選に関してはできるだけ選手を変えずに、前の試合で経験したことを積み上げて、次の試合に生かせるように、と考えている」

 オーストラリア戦後の森保一監督の言葉である。

 次回ワールドカップ出場へ向け、アジア最終予選を戦う日本代表は、4試合を終えて3勝1分けとグループ首位に立っている。

 3戦全勝で迎えたオーストラリア戦にしても、今回の最終予選で初めて失点し、相手にリードを許す展開になったものの、それでも1−1の引き分け。全6カ国が2回戦総当たりで争うグループにあって、勝ち点10の日本は2位以下に勝ち点5以上の差をつけ、早くも独走態勢を固めつつある。

 もちろん、この先何が起きるかわからないのは事実だが、"1強"状態の日本が大きく順位を落とすとは考えにくい。8大会連続となるワールドカップ出場へのカウントダウンは、ハイスピードで進んでいる。

 ただその一方で、日本の強さが際立つほどに、以前からあるひとつの疑問がさらに大きく膨らんでいる。

 すなわち、「常にベストメンバーを集め、同じメンバーで戦い続けることがいいことなのか」、という問いである。

 これまでの最終予選4試合を振り返ると、直近のオーストラリア戦で遠藤航がコンディション不良により先発はもちろん、登録メンバーからも外れたアクシデントを例外とすれば、鎌田大地と久保建英が2試合ずつ先発出場の機会を分け合った以外、先発メンバーの顔ぶれはすべて同じ。それどころか、交代出場する選手さえも、ほぼお決まりというのが恒例である。

 つまり、これまでの4試合で先発出場した選手は13人しかおらず、交代出場を含めても、ピッチに立つ機会を得た選手は全部で19人。毎回27人ずつ招集していることを考えると、10人近くが長旅を強いられた挙句に、まったく試合に出ることなく一連の活動を終えているのだ。

 確かに、目先の試合に勝利する確率を高めるためには、メンバーの固定は有効策だろう。だが、このチームの最終目標は、「ワールドカップでベスト8に進出すること」ではないのか。

 だとすれば、今はもっと多くの選手を起用してピッチに立たせ、選手層を厚くしていく時ではないのか。それこそが2年後を見通した時、チーム力を最大限高めることにつながるのではないのか。

 これまでの4試合で先発出場した13選手のうち、前回のワールドカップメンバーに選ばれていなかったのは、鈴木彩艶と町田浩樹だけ。交代出場の選手に目を向けても、中村敬斗と小川航基、高井幸大が加わった程度だ。

 チームの底上げを期待されるパリ五輪世代にしても、鈴木以外に該当選手はおらず、細谷真大も、藤田譲瑠チマも、それぞれ9月と10月の活動に招集こそされたが、一度も出場機会を得ることはなかった。

 また、ヨーロッパでチャンピオンズリーグデビューを果たした荻原拓也も、チェイス・アンリも、招集すらされていないのである。

"ポスト・カタール"の新陳代謝は、およそ活発に進んでいるとは言い難い。

「最終予選でできるだけ選手を変えないのは、(新たな選手が加わることで生じる)確認事項をできるだけ少なくするため。慎重にやらせてもらっているところはある」

 森保監督がそうも語っているように、ワールドカップでベスト8に進出するためには、まずはワールドカップに出場しなければ始まらない。とにもかくにも、万難排して出場権を獲得することが何より先決だ。その理屈はよくわかる。

 また、前回ワールドカップの最終予選に続いて今回もアウェーゲームはテレビ放送されておらず、日本代表人気の低下がささやかれる昨今、すべての試合に本気度を示さなければならない、という事情もあるのかもしれない。

 だとしても、である。

 いかにオーストラリアの守備が固かったとはいえ、有効な打開策を見出せないままホームで引き分けたにもかかわらず、指揮官の口からは選手を称える言葉しか聞かれず、11月の試合ではまた同じ顔ぶれがピッチに立つ。

 これで本当にチームの強化につながっているのだろうか。

 森保監督の口から今後の方針がはっきりと示された今、大幅にメンバーが入れ替わり、新戦力が登用される可能性は極めて低い。今はただ、1試合でも早くワールドカップ出場が決まることを願い、1試合でも多くの"消化試合"が生まれることを期待するしかなさそうだ。

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