JR九州高速船を家宅捜索 浸水隠し運航した疑い 福岡海保

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2024年10月17日 14:55  毎日新聞

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JR九州高速船の「クイーンビートル」に家宅捜索に入り、押収した資料を運び出す海保の捜査員ら=福岡市博多区で2024年10月17日午後0時20分、野田武撮影

 JR九州の子会社「JR九州高速船」(福岡市博多区)が日韓を結ぶ高速船「クイーンビートル(QB)」の浸水を隠して運航を続けた問題で、福岡海上保安部は17日、船舶安全法違反(臨時検査不受検航行)と海上運送法違反(安全管理規定違反)の容疑で同社と船内の2カ所を家宅捜索した。


 海保によると、捜索の容疑は、JR九州高速船が2024年2月にQBの浸水を確認しながら臨時検査を受けず約3カ月にわたって運航を継続し、国土交通相に届け出た安全管理規定にも反して業務をした、としている。


 JR九州高速船は5月に初めて浸水を認識したように装い、国交省九州運輸局に報告した。だが、国交省が8月に実施した抜き打ち監査で隠蔽(いんぺい)が発覚。浸水を検知しないよう警報センサーをずらしたり、航海日誌に「異常なし」とうその記載をしたりしていたことも明らかになり、JR九州高速船の前社長の指示だったとした。QBは8月13日から運休している。


 こうした問題を受けて国交省は9月、JR九州高速船に対して海上運送法に基づく行政処分の安全確保命令と安全統括管理者・運航管理者の解任命令を出した。JR九州高速船は、別の浸水トラブルの後に必要な検査を受けていなかったとして23年6月にも安全確保命令を受けており、国交省は今月末までに再発防止策を報告するよう求めている。


 海保は「証拠隠滅の恐れがあり、捜査に支障を来す恐れがある」と強制捜査の理由を説明。この日は午前9時過ぎから3時間ほど、十数人の捜査員が会社と船内に分かれて捜索し、押収した資料を入れたとみられる段ボール箱などを運び出した。今後、押収資料を分析し、隠蔽工作の全容解明を進めるとみられる。臨時検査不受検航行の罰則は1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金。安全管理規定違反の罰則は100万円以下の罰金。


 JR九州の広報担当者は「海上保安部の捜査に真摯(しんし)に対応します」とコメントした。


「海保の厳しい姿勢、警鐘に」


 強制捜査について、第3管区海上保安本部の元本部長で日本水難救済会の遠山純司理事長は「会社が浸水をどう認識し、組織ぐるみで隠蔽していたのか、誰が指示していたのかといった一連の流れの裏付けが取れるかがポイントになる」と指摘。「北海道・知床半島沖での観光船沈没事故を受け、管理者側の責任が厳しく問われる流れになっている。海保が厳しい姿勢を示すことが警鐘を鳴らすことにもつながる」と話した。【栗栖由喜、下原知広、長岡健太郎、森永亨】



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