醤油からプラスチックを生成!? 醤油にまつわる驚きの最新テクノロジー

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2024年10月17日 17:31  BCN+R

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最新テクノロジーで注目される「醤油」(画像はイメージ)
 日本食には欠かせない調味料の醤油。醤油には長い歴史と伝統があり、現代のテクノロジーとは縁がないように思えるが、近年醤油に関する最新技術がいくつか開発されているという。今回は、進化を続ける醤油の最新テクノロジーについて紹介していこう。

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●醤油が環境問題を解決する!?

 まず、2023年に発表されたのが醤油の副産物を用いた驚きのアップサイクルだ。三重県桑名市の醤油メーカー・ヤマモリが、岩手大学と東京農業大学との産学共同研究で、醤油の副産物である「しょうゆ油」からプラスチックを作る技術を開発したと発表した。

 醤油の製造過程で生じる「しょうゆ油」は、石けんや燃料などに活用されることもあるが通常は廃棄されるもので、廃棄量を試算すると全国で4600t(2006年実績)にも及ぶ。このしょうゆ油を未利用資源として、ヤマモリでは再利用を検討。研究が進められた結果、「海洋生分解性プラスチック」に活用できるpoly(3-hydroxybutyrate)を合成できることを発見した。実用化ができれば、醤油の産業廃棄物を大幅に削減できる大きな発見だ。

 海洋生分解性プラスチックは、その名の通り自然に分解されるプラスチックで、環境にも優しい。海洋プラスチックによる環境汚染問題は深刻だが、もしかすると醤油は問題解決の一助になるかもしれない。

 続いてのテクノロジーは、既に「透明醤油」として商品化されており、見たことがある方もいるだろう。熊本県熊本市の醤油メーカー・フンドーダイが開発した「醤油を透明化する技術」だ。素材の色を損なわずに旨味をプラスできるというのが特徴で、醤油味の透明なゼリーを作ることもできる。

 「透明醤油」は特に海外での人気が高まっており、既に25カ国へ輸出している。2023年の海外での売上本数は、前年度の二倍にもなるという。海外での日本食人気に加え、料理の色が変わらないことから西洋料理にも使われているようだ。

 現代の技術を用いて、環境問題の解決や海外展開など様々な可能性を見せている醤油。世界で醤油を使うことが当たり前になる日も近いかもしれない。(フリーライター・佐々木剛)

■Profile

佐々木剛

大手メーカーに勤務後、一念発起してウェブメディア業界に転職。その後フリーライターとして独立し、現在に至る。メーカー時代の経験を活かし、テクノロジー、機械、技術系中心に執筆。

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