なぜ、KDDIは通信品質調査でソフトバンクを抜いた? 「ドコモ、楽天モバイルとは異なる戦法」とは

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2024年10月17日 19:21  ITmedia Mobile

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au、UQ mobile、povoの3ブランドを提供するKDDI

 KDDIが、英Opensignalによる日本のモバイル通信品質の調査レポートで高い評価を得た。全18部門のうち13部門で1位を獲得。国内MNOではKDDIが最多受賞となった。


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 英Opensignalによる調査結果で特に着目したいのが、つながった後に動画やゲームを快適に利用できるかどうかを示す「一貫した品質」という項目だ。KDDIは2年連続でトップだったソフトバンクを追い越した点をアピールする。つながりやすさを示す「信頼性エクスペリエンス」という項目でもKDDIはトップとなった。


 そもそもKDDIが保有する5GのSub6(3.7GHz帯と4.0GHz帯)の一部は、衛星通信事業者の地球局と干渉してしまう周波数帯だった。KDDI 執行役員 コア技術統括本部 技術企画本部長 前田大輔氏は「衛星との干渉が残っている間、まずは転用周波数の5Gで浸透度の高いエリア、高品質なエリアを作ってきた」と振り返り、「この転用周波数のエリアを専攻させる手法はソフトバンクも同様」と話す。これまでOpensignalによる調査レポートでソフトバンクが高い評価を得ていた理由の1つだそうだ。


 2023年度末には、衛星通信事業者の協力を得て、地球局を移転させた結果、衛星干渉条件が緩和され、2024年4月から5月にかけて、Sub6基地局の出力アップと、アンテナ角度の最適化が可能になり、関東地方を中心にSub6エリアが拡大した。


 KDDIが最もアピールするのは、4G転用周波数による面的な整備を先行するとともに、Sub6の基地局も整備してきた点。「4G転用周波数を利用した5Gがベースにあれば、Sub6の基地局を高密度に打てるため、浸透度の高いSub6を提供できる」と前田氏。これがKDDIの戦法である一方、「NTTドコモと楽天モバイルはSub6から展開し、エリアカバーもSub6に依存してしまう」(前田氏)ことから、「KDDIのような高密度な展開ではなく、薄めのSub6の展開が先行」(前田氏)してしまうという。


 その結果、「速度低下や品質劣化に結びつく」と前田氏は分析する。4Gの周波数転用で浸透度が高くなり、それをベースとした広範囲なエリアに加え、“業界最多”をうたうSub6基地局を高密度に展開してきた、KDDIの取り組みが調査会社のレポートで浮き彫りになった形といえる。



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