エネルギー事業会社で最も早く「CO2ネット・ゼロ」を宣言…東京ガスが考える“再生可能エネルギー”の重要性とは?

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2024年10月17日 21:00  TOKYO FM +

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エネルギー事業会社で最も早く「CO2ネット・ゼロ」を宣言…東京ガスが考える“再生可能エネルギー”の重要性とは?
笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00〜20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。10月12日(土)の放送は、前回の放送に引き続き、東京ガス株式会社 常務執行役員 CDOの菅沢伸浩(すげさわ・のぶひろ)さんをゲストに迎えて、お届けしました。


(左から)菅沢伸浩さん、笹川友里



菅沢さんは、慶應義塾大学大学院 理工学研究科 修士課程終了後、1991年に東京ガス株式会社に入社。その後、東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社 事業企画部長などを経て、2019年に執行役員 電力本部 電力事業部長に就任。2023年に常務執行役員 CDOに就任しました。

◆CO2ネット・ゼロを目指して

東京ガスでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)だけでなく“CX”や“GX”も推進しています。“CX”とは「Customer Experience(カスタマー・エクスペリエンス)」の略で、「お客さまの体験を向上させること」と菅沢さんは言います。

一方、“GX”とは「Green Transformation(グリーン・トランスフォーメーション)」の略で、つまり、クリーンなエネルギー活用に向けた変革のこと。「東京ガスは、政府が発表する1年前(2019年)に、日本のエネルギー事業会社のなかで最も早く2050年にCO2をネット・ゼロにする宣言をしました。日本でも相当先駆的な取り組みだと思います」と胸を張ります。

具体的な施策としては、まず他の燃料に対してCO2排出量の少ない天然ガスを徹底的に使い倒すことや徹底した省エネ、さらには、再生可能エネルギーの活用にも取り組み、「例えば、一度排出されたCO2に水素を合成して“e-メタン”にし、それをまた燃やします。これはCO2を再利用しているだけなので、理論的にはCO2は増えていません。今はアメリカなどで前段の検討をしているところで、うまくいけば2030年には日本にやって来ます。ほかにも“洋上風力”に力を入れたいと思っていまして、“浮体式洋上風力”にもチャレンジしていきたいと思っています」と解説します。

続けて、「日本は資源が少ない国なので、いろいろなエネルギー源をミックスさせることが大事だと思っています。そのなかでも、再生可能エネルギーはとても重要で、今後はその割合も増えていくと思います。ただ、結構な量になるものの、それが100%にはならないと思います。それぞれのエネルギー源には良い面もあれば悪い面もあるので、それらを見比べながら、いかに社会に実装していくか。我々は時代に合わせてベストなものを作っていきたいと思っています」と声を大にします。

◆菅沢伸浩が考える“DX人材”育成

続いて、東京ガスにおけるDXの課題を伺うと、菅沢さんは2つあると指摘。「1つは“スピード”。デジタルの進化は我々が想像しているよりも早いので、いかにそれをタイムリーにキャッチして、事業に取り入れていくかが重要だと思います。2つ目は、トランスフォーメーションにつなげていくこと。デジタルはあくまでも手段であり、それだけ取り入れても何も変わらないので、新しいものを作り上げることをセットで進めていくことが大事ですね」と言います。

また、東京ガスという会社自体“イノベーション”の気質があるとも。「CO2のネット・ゼロ宣言も日本のエネルギー事業者として初ですし、ガス自体もガス灯から始まり、さらには電気にもなるなど、ガスの変革の歴史を体現してきた会社だと思っています」と菅沢さん。

イノベーションを促すにあたっては、いまやDX人材の存在は不可欠。そこで笹川が、「DX人材の確保にあたって、育成を重視されているのか、外からやってくるスペシャリストを獲得するのとでは、どちらが近いですか?」と伺うと、菅沢さんは「結論から言うと両輪ですが、育成についてはプログラムを毎年アップデートしながら、多くのDX人材をつくるべく取り組んでいます」と話します。

特に実務研修に力を入れており、数ヵ月間に渡って実施することもあるそうで「ちょっとした成功体験を積んでもらうことが大事だと思っていますので、そうしたことを意識した研修体系になっています」と明かします。

最後に、菅沢さんに近未来のビジョンを伺うと「一般論としては、間違いなくAI(人工知能)がより進展すると思います。例えばスマホで検索する際もまずは情報を入れて、その答えをもらって、また情報を入れてと複数やりとりしますが、今後はAIが先読みをして、我々が考える前に提案してくる世界になると思います。これと似たような考え方が(東京ガスの新たなブランド)『IGNITURE(イグニチャー)』のコンセプトだと思っています」と言及。

続けて、「例えば、法人に向けて我々はAIを使ってお客さま自身よりもお客さまを知る立場になりたいと思っています。これは何かというと、我々はガスや電気を使っていただいているので、当然エネルギーに関するデータや設備のデータがありますし、世間には企業情報やさまざまな業界の情報があるので、これを人が一つひとつ見て解析するのは困難です。しかし、その情報をAIに入れることで、お客さまの課題から解決策まで自動的に答えを出してくれて、我々はそれを持ってお客さまと会話をする。そうすると、お客さまが抱える“なんとなくモヤモヤしていた課題”も明確になりますし、次の展開が考えられる。そういったことをスピード感を持って進めていきたいと思います」と語っていました。

次回10月19日(土)の放送は、株式会社GRA 代表取締役CEOの岩佐大輝さんをゲストに迎えてお届けします。ミガキイチゴを展開するGRAの“最先端農業”についてなど、貴重な話が聴けるかも!?

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10月12日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年10月20日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里


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