J1リーグ残り5節、栄冠を手にするのは広島か、神戸か、それとも町田か

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2024年10月18日 07:30  webスポルティーバ

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今季J1リーグも残り5節。クライマックスを迎えようとしている。優勝争いの行方は、首位のサンフレッチェ広島、2位のヴィッセル神戸、3位のFC町田ゼルビアの3チームにおおよそ絞られた。

町田はここに来て今季初の連敗を喫するなど、やや勢いを失いつつあるが、広島と神戸も2024−2025 AFCチャンピオンズリーグ(以下、ACL。エリートおよび2も同様)での戦いがスタート。シーズン終盤を迎えて、ハードスケジュールを余儀なくされることとなる。

はたして、最後に笑うのはどこか。3人の識者に、今季リーグの頂点に立つであろうチームを予想してもらった――。

勝利の女神が微笑むのは広島か、神戸か
あらゆる要素から広島がより優勝に近い

原山裕平(サッカーライター)

優勝:サンフレッチェ広島

 今季のJ1に旋風を巻き起こしていたFC町田ゼルビアの失速により、優勝争いは現在首位のサンフレッチェ広島と2位のヴィッセル神戸の2チームに絞られたと言っていいだろう。ともにシーズン後半に入って地力を発揮し、前者は第23節から11戦無敗(10勝1分け)、後者は第26節から8戦負けなし(7勝1分け)で、現在は6連勝中と勢いを加速させている。

 では、この2チームのどちらに勝利の女神がほほ笑むのか。現在のチーム状況と残りの対戦スケジュールを踏まえると、広島がより優勝に近いと考える。

 広島の躍進の背景には、今夏に加入した3選手の存在がある。ドイツ出身のMFトルガイ・アルスラン、元ポルトガル代表のFWゴンサロ・パシエンシア、3季ぶりに復帰したMF川辺駿である。

 実力と経験を備えたこの3人が、すでに高い完成度を誇っていた広島のサッカーをさらに上のレベルへと導いた印象だ。とりわけ9戦7発と高い決定力を示すアルスランが、9年ぶりの優勝へのキーパーソンとなるだろう。

 第31節の横浜F・マリノス戦で6ゴールを奪ったのをはじめ、今の広島からは完膚なきまで相手を圧倒する強さが感じられる。1点差をモノにする神戸の王者然とした勝負強さも見逃せないものの、ある種の余裕すら感じられる広島がそのまま逃げきりを果たすのではないか。

 残りの対戦相手との前回結果を見ても、広島は3勝(湘南ベルマーレ、京都サンガF.C.、浦和レッズ)2分け(北海道コンサドーレ札幌、ガンバ大阪)であるのに対し、神戸は3勝(FC東京、ジュビロ磐田、湘南)2敗(東京ヴェルディ、柏レイソル)と分が悪い。

 また、両者ともにリーグ戦に加えてアジアの戦いがあるが、神戸にはさらに天皇杯の日程も入ってくる。スケジュール的にも優位であることから、広島の優勝を予想する。

広島と神戸に絞られた優勝の行方
昨季の経験がモノを言う神戸が優勢か

浅田真樹(スポーツライター)

優勝:ヴィッセル神戸

 さまざまな批判はありながらも、チームとしての戦い方を固めていったFC町田ゼルビアが初昇格初優勝の快挙を成し遂げると見ていたが、ここに来て今季初の連敗。流れは明らかに変わった。

 残り試合数と勝ち点差を考えれば、優勝の行方は、サンフレッチェ広島とヴィッセル神戸に絞られたと言っていいだろう。

 どちらもACLとJ1を並行して戦わなければならず、大きな日程の有利不利は見られない。神戸には天皇杯も残るが、ここでタイトルを獲得するようなら、むしろJ1連覇へ勢いづく可能性もあるだけに、一概に広島有利とは言えないだろう。

 では、チームとしての完成度で勝る広島と、選手個々の能力と経験で勝る神戸とでは、どちらが上か。

 昨季を振り返ると、神戸はシーズン終盤、ライバルとの直接対決でことごとく勝利するなど、土壇場での勝負強さが強く印象に残っている。

 横浜F・マリノスとのマッチレースを制し、初優勝を成し遂げた経験が大きくモノを言うと見て、神戸の連覇を予想する。

広島が優勝するのが一番美しい
選手が躍動し、最高の舞台で戦っている

小宮良之(スポーツライター)

優勝:サンフレッチェ広島

 シーズン開幕前の順位予想、個人的には"希望順位"という体で出している。それほど、順位予想を信用していないのだが......。

 ここまでの戦いを振り返って、「優勝にふさわしいのは」と聞かれたら、「サンフレッチェ広島」と答えるだろう。別に、ヴィッセル神戸やFC町田ゼルビアがふさわしくない、と言っているのではない。ふさわしいのは? と聞かれたら、の答えだ。

 なぜなら、広島が優勝するのが一番美しい。

 ひとつは、ミヒャエル・スキッベ監督はミハイロ・ペトロヴィッチ監督(北海道コンサドーレ札幌)と並び、今シーズンのJリーグで最も「プレーコンセプトを感じる」指導者と言える。ディテールのミスなどいくらでもあるが、どういうサッカーを志向しているのか、が伝わってくる。

 そして監督のコンセプトのなか、選手たちが躍動している。単純に「サッカーがうまくなっている」というのか。FW大橋祐紀(ブラックバーン)、MF川村拓夢(ザルツブルク)というふたりの主力をシーズン途中の移籍で失っても、これだけ勝ち点を稼げているのは、チーム力の証明だろう。MFトルガイ・アルスラン、FWゴンサロ・パシエンシア、MF川辺駿の獲得も成功だった。

 最後に、今シーズンからお披露目したエディオンピースウイング広島は"優勝にふさわしい"決定打と言える。市内の中心にそびえ、専用スタジアムとして活気、熱気を増幅させる。以前のスタジアムは市内から遠く離れていたし、陸上スタジアムだっただけに......。

 広島は、監督、選手がコンセプトを体現し、最高の舞台で戦っている。もちろんシーズンの最後に、ACLを並行して戦う不利はあるだろう。しかし、"優勝にふさわしい"のは広島だ。

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