「Xiaomi 14T/14T Pro」は何が進化したのか ライカのカメラ搭載で10万円台から、国内スマホシェア3位でさらなる攻勢を

0

2024年10月18日 19:21  ITmedia Mobile

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia Mobile

上位モデルの「Xiaomi 14T Pro」

 Xiaomi Japanが、ハイエンドスマートフォン「Xiaomi 14T Pro」と「Xiaomi 14T」の日本導入を発表。14T Proは11月下旬以降にソフトバンクとオープンマーケットにて、14Tは12月中旬以降にauとUQ mobileから発売される。


【その他の画像】


 同社は10月10日に発表会を開催し、このXiaomi 14Tシリーズに加え、スマートウォッチ、ワイヤレスイヤフォン、スマートTV、ロボット掃除機など多彩な新製品を発表したが、中でも説明に最も時間が割かれたのが、スマートフォンのXiaomi 14Tシリーズだった。この発表会で明かされた、Xiaomi 14Tシリーズの見どころを解説しよう。


●ライカ共同開発のカメラがTシリーズにも解禁


 Xiaomi 14Tシリーズ最大の特徴は、何といってもライカと共同開発したカメラを搭載していること。ライカ印のカメラを国内のスマートフォンに搭載してきたのは、ここ数年から2023年まではシャープに限られてきたが、2024年5月には、ライカのカメラを搭載したフラグシップモデル「Xiaomi 14 Ultra」を国内にも発売。そして、これまで国内モデルはライカのカメラを搭載していなかったXiaomiのTシリーズも、14Tシリーズでライカが解禁となった形だ。


 Xiaomi 14T/14T Proともに、アウトカメラは約5000万画素の広角と望遠、約1200万画素の超広角という3眼構成だが、イメージセンサーや望遠カメラの性能などが異なる。レンズはライカの「Summilux」を採用している。


 Xiaomi 14T Proは、Xiaomiが開発した1/1.31型のイメージセンサー「Light Fusion」を採用しており、高いダイナミックレンジや14ビットの色深度を特徴としている。Xiaomi Japan プロダクトプランニング本部 本部長の安達晃彦氏によると、このイメージセンサーにより、夜間や暗い場所での撮影が主要な競合フラグシップモデルよりも1.5倍高速になるという。焦点距離は広角が23mm、望遠が60mm、超広角が15mmとなり、撮影画面からは0.6倍(15mm)、1倍(23mm)、2倍(46mm)、2.6倍(60mm)、5倍(120mm)をワンタップで切り替えられる。


 Xiaomi 14Tはソニーの1/1.56型センサー「IMX906」を採用。焦点距離は広角が23mm、超広角が15mm、望遠が50mmとなり、撮影画面からは0.6倍(15mm)、1倍(23mm)、2倍(50mm)、4倍(100mm)をワンタッチで切り替えられる。望遠カメラのズーム倍率はXiaomi 14T Proの方がやや高い。


 画像処理を行うISP(Image Signal Processor)として、AIを用いた独自の「Xiaomi AISP」を採用。CPU、GPU、NPU、ISPの処理を統合しており、全プロセスの画像処理の効率が大幅に向上したとしている。このAISPについてXiaomi 14T Proは54TOPS(TOPS=1秒間に実行できる演算処理)、Xiaomi 14Tは24TOPSの性能を持つ。AISPを用いた機能の一例として、8枚のRAW画像を1枚に処理することでノイズを大幅に削減できるという。ダイナミックレンジは先代から6倍向上した。


 動画撮影機能も強化した。「ムービーモード」で撮影すると、2.39:1のアスペクト比で被写体の背景をぼかしながら、映画のような動画を撮影できる。動画はインカメラで4K、アウトカメラで8Kまでのサイズで撮影できる(Xiaomi 14Tはどちらも4Kまで)。


●Xiaomi 14T Proはハイエンドプロセッサ「Dimensity 9300+」を搭載


 プロセッサは、Xiaomi 14T ProがMediaTekのDimensity 9300+、Xiaomi 14TがDimensity 8300-Ultraを搭載。MediaTekのDimensity 9000シリーズと8000シリーズは、ミッドレンジ/ミッドハイのスマートフォンではすっかりおなじみとなっている。発表会ではMediaTek Japanの栫(かこい)啓介社長が、MediaTekはスマートフォン向けプロセッサで3年連続シェアトップを獲得していることを紹介した。


 Dimensity 9300+は、オールビッグコアCPUによるパフォーマンス、同社の第7世代NPUによって実現したエッジ生成AI機能を特徴とする。先代のDimensity 9200と比較して、CPUはシングルコアが15%、マルチコアが40%の性能アップを果たし、電力消費は33%削減できるという。GPUもピークパフォーマンスは46%向上し、電力消費は40%削減できているとする。


 Xiaomi 14T Proが搭載する「MediaTek NPU 790」は68TOPSの処理能力を持つ。このNPUを活用したオンデバイスでのAI処理は、先代から100%高速化したという。Xiaomi 14Tは「MediaTek NPU 780」を備える。


●Googleとの協業でAI機能も充実 独自の画像加工も


 新しいNPUの性能を生かすべく、AI関連の機能も充実させた。


 画像関連では、画像の足りない部分を付け加えたり、不要な部分を削除したりできる。AIポートレートでは、人物写真を特定のシチュエーションに合成することが可能になる。例えばギターの演奏をする、ハロウィーンの仮装をするといった具合だ。


 Googleとの協業により、対話型生成AIサービスの「Gemini」を内蔵しており、電源キーを長押しすることで呼び出し、会話ができるようになる。画面上の特定箇所を囲って検索ができる「かこって検索」や、リアルタイムの翻訳も利用できる。


 この他、クラウドを活用することで、テキストの要約、構文、校正、翻訳が行える「AIメモ」、録音した音声のテキスト変換や要約、翻訳もできる「AIレコーダー」、Web会議やライブビデオなどの「AI字幕」といった機能も用意する。いずれも日本語にも対応している。


●14T/14T Proでデザインや素材に違いも 急速充電やWi-Fi規格にも差があり


 バッテリーは両機種とも5000mAhを備える。Xiaomi 14T Proは120Wの、Xiaomi 14Tは67Wの急速充電に対応しており、日本モデルでは急速充電器が付属する。Xiaomi 14T Proは19分、Xiaomi 14Tは50分で1%から100%までのフル充電が可能。ソフトバンクはXiaomi 14T Proを「神ジューデン」対応機種として訴求する。


 メインメモリとストレージの構成は、Xiaomi 14T Proが12GB/256GBと12GB/512GB、Xiaomi 14Tが12GB/256GBから選べる。


 ディスプレイは両機種とも6.7型有機ELを備え、144Hzのリフレッシュレートに対応する。正面から見ると見分けがつかないが、背面はXiaomi 14Tがフラットな一方、Xiaomi 14T Proはフチになだらかなカーブがかかっている。背面の素材は両機種ともガラスだが、Xiaomi 14Tのみ、PUレザー素材を採用した「レモングリーン」を用意している。


 防水性能はIPX8、防塵(じん)性能はIP6Xを確保している。おサイフケータイ(FeliCa)にも対応しており、細かな変更点として今回のモデルではFeliCaロゴは記載されていない。


 5Gの対応バンドはXiaomi 14T Proがn1/2/3/5/7/8/12/20/25/26/28/38/40/41/48/66/75/77/78、Xiaomi 14Tがn1/3/28/40/41/77/78。ドコモのn79(4.7GHz帯)には対応しておらず、今回もドコモからの販売はなさそうだ。SIMはeSIMとnanoSIMのデュアルSIMとなっている。


 Wi-FiはXiaomi 14T ProがWi-Fi 7と6E、Xiaomi 14TがWi-Fi 6Eをサポートしており、Xiaomi 14T Proの方が対応ルーターを使えばより高速な通信が可能だ。


●Xiaomi 14 Proの価格は10万9800円〜11万9800円


 Xiaomi 14T ProはソフトバンクがMNOとして独占販売する他、オープンマーケット向けにも展開する。MVNOの展開については現時点では明らかになっていない。オープンマーケット向けモデルの価格(税込み、以下同)は、12GB+256GBが10万9800円、12GB+512GBが11万9800円。発売は11月下旬以降を予定している。


 Xiaomi 14TはauとUQ mobileから12月中旬以降の発売を予定しており、オープンマーケット向けの発売は予定していない。


 ソフトバンクとKDDIともに、販売価格はまだ公表していないが、ソフトバンクは「新トクするサポート」、KDDIは「スマホトクするプログラム」を適用して所定の期間に返却することで、安価に運用できるだろう。


 Xiaomi 14T Proの10万9800円〜11万9800円という価格は、上位モデル「Xiaomi 14 Ultra」の19万9900円と比べると、約8万〜9万円安い。この金額でライカのカメラや各種AI機能を使えると考えると、コストパフォーマンスは高いといえる。


 他社では、ライカ監修のカメラを搭載したシャープの「AQUOS R9」が、オープンマーケットでは10万円前後で販売されており、ライバルになりそうだ。


●国内スマホ出荷シェアで3位に Xiaomi Storeの展開にも期待


 Xiaomi 14T/14T Proをはじめ10月10日に発表した製品群のコンセプトとして、Xiaomiは「Your Daily Hero」を掲げる。これは、「ほとんどのシナリオをこなせるパートナーのような製品が欲しいという声」(Xiaomi Japan大沼彰取締役社長)を受けて設定したもの。Xiaomi 14T/14T Proは「ヒーローパートナーと呼べるスマートフォンは何かを考えた」結果、生まれたモデルであり、「皆さんが欲しい機能のほとんどが搭載されている」と大沼氏は自信を見せる。


 調査会社のCanalysの発表によると、Xiaomiのスマートフォン出荷台数は、2024年第2四半期(4月〜6月)に国内第3位に浮上したという。シェアは6%に上り、前年度から359%増と大きな成長を果たした。


 Redmiシリーズでローエンドからミッドレンジをカバーし、Xiaomi UltraやTなどでミッドハイ〜フラグシップをカバーする。10月17日には、1万円台からのローエンドモデル「Redmi 14C」も発売。こちらは機能や性能で多くを求めず、価格の安さを重視する人に向く。Redmi、Redmi Note、Xiaomi T、Xiaomi Ultraという4つのレンジをそろえることで、さまざまなニーズに応えていく構えだ。


 Xiaomi Japanは東京都渋谷のPARCOにポップアップストアを展開しているが、好評を受けて11月4日まで延長する。2024年、スマートフォンを除いても50以上の製品をXiaomi Japanは発表しており、これだけの数の製品を俯瞰(ふかん)して見てもらうには、専門店の存在は欠かせない。海外で展開している「Xiaomi Store」を日本で展開する日も近そうだ。



    ランキングIT・インターネット

    前日のランキングへ

    ニュース設定