【塚本清彦】ツーウェー契約の河村勇輝は「ゲームメーク能力評価された」/評論

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2024年10月20日 15:03  日刊スポーツ

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日刊スポーツ

河村勇輝(2024年撮影)

米バスケットボールNBAグリズリーズのキャンプに参加した河村勇輝(23)が同クラブとツーウェー契約を交わした。19日(日本時間20日)にクラブが正式発表した。


バスケットボール評論家の塚本清彦氏(63)に、河村のここまでの奮闘ぶりと今後について聞いた。


◇ ◇ ◇


スタッツには表れない部分が評価されたはずだ。河村はプレシーズンゲーム(オープン戦)5試合に出場して1試合平均3・4得点、4・2アシスト。こうした数字よりも、試合を動かし、チームメートの良さを引き出すといった、ゲームメーカーとしての能力が認められ、ツーウェー契約に至ったのだろう。


9月下旬にローズが引退したことで、今月15日にピッペンが昇格。それによってツーウェー契約枠に1つ空きができた。河村はそうした運を引き寄せ、ものにするだけの結果を残した。


3試合目のブルズ戦では8アシストをマーク。チームに非常にフィットしていた。直後のペイサーズ戦では3本の3点シュート成功を含む10得点。NBAのスリーポイントラインはゴールから7メートル24センチと、国際ルールよりも約50センチ遠い。それでも空間認識能力の高さを発揮し、しっかり対応できている。


精神面では、すでにNBAで活躍してきた日本人選手の存在も大きい。昨夏の沖縄W杯や今年のパリ五輪では、八村や渡辺と一緒に過ごした。NBAでプレーするための心構えを聞く機会もあったことだろう。とくに渡辺は、河村と同じようにエグジビット10契約からスタートし、そこからツーウェー契約、そして本契約を勝ち取ったシーズンもあった。だからこそ、その言葉には説得力があったことだろう。また河村自身も、2度の大きな国際大会を経験し、自信を深めたことは間違いない。


NBAデビューとなれば日本人4人目。大舞台でプレーする姿をもちろん楽しみにしているが、過剰な期待は不要だ。グリズリーズのガード陣にはモラント、スマート、ベインといった実績十分の選手たちがそろう。先日、本契約を勝ち取ったピッペンも控える。河村の出場チャンスは限られるだろう。それでも臆することなく挑戦をつづけ、準備を重ねる。そのことの大切さは、誰よりも本人が分かっている。(バスケットボールコメンテーター)


◆塚本清彦(つかもと・きよひこ)1961年(昭36)2月26日生まれ、兵庫県出身。育英高から明大を経て日本鋼管に入社。主にポイントガードのポジションを務め、日本リーグ優勝2度、93−94シーズンにベスト5。96年引退。明大、法大の監督を経て、現在はテレビやインターネット中継でNBAやBリーグの解説を行う。

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