【ドラフト2024】阪神が獲得したい地元の快腕 1位はアマナンバーワン左腕? 藤川球児二世?

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2024年10月21日 07:40  webスポルティーバ

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チーム事情から見るドラフト戦略2024〜阪神編

 プロ野球の一大イベント、ドラフト会議が10月24日に開催される。各球団すでに指名選手をリストアップし、最終段階に入っていると思うが、チームの現状と将来を鑑み、今回のドラフトで本当に獲得すべき選手は誰なのか? 来季から藤川球児新監督となり、俄然注目が集まる阪神。王座奪還に向けて、獲得すべき選手は?

【アマ球界ナンバー左腕を指名するか】

 阪神が連覇できなかった理由を、こんなふうに言っている人がいた。

「幸せすぎたんだ。18年ぶりに優勝して、日本一まで達成した。みんなから祝福されて、オフはどこへ行っても、誰に会っても『おめでとう、よくやった!』と。次に来るのは、達成感よりも安堵感。『やれやれ、ひと息つくか......』って、そういうシーズンだったんじゃないかな。だって、大山(悠輔)にしても、近本(光司)にしても、去年はあれだけ牙をむいて向かっていたのに、今年はなんだか表情がやさしくなっちゃって。戦う男の顔じゃなかったもん」

 球場帰りの電車で、元プロ野球選手の独りごとみたいな言葉のなかに、意外と"本質"みたいなものが潜んでいたりするから油断できない。

 連覇こそ逃した阪神だが、チーム防御率は昨年よりもさらに良化して2.50。優勝した巨人の2.49とほぼ変わらず、12球団トップクラスのすばらしい成績である。

 ただ"実態"を見れば、中継ぎ、抑えでフル回転した左腕の岩崎優が来季34歳。ローテーションの一角として安定した制球力を発揮した西勇輝が来季35歳。

 ファームにも、来季以降に大きな期待が持てそうな若手が少ない。右腕で茨木秀俊(ファームで7勝4敗/防御率3.64)、左腕で門別啓(同4勝5敗/防御率3.96)ぐらいだろうか。いずれにしても、投手陣のテコ入れが急務だ。

 地元に金丸夢斗(神港橘→関西大/投手/177センチ・77キロ/左投左打)という超逸材がおり、見過ごすわけにもいかないだろうが、4、5球団競合の可能性もあり、すんなり1位ともいかない。

 ポイントは、ライバル巨人の出方にかかっているのではないか。チーム事情から、巨人は明治大の遊撃手・宗山塁を1位で指名するかもしれないが、もし金丸で来るなら阪神も指名しないわけにはいかないだろう。

【藤川球児二世の逸材】

 ただ藤川球児監督が誕生し、"球児二世"を育てたい。別に"ご祝儀指名"というわけではない。今年のドラフト候補には、それにふさわしい本格派の素材が、しかも地元にいるからだ。

 言うまでもなく、今朝丸裕喜(報徳学園/投手/188センチ・80キロ/右投右打)である。均整の取れた屈強な体躯から投げ下ろす速球は、プロの食事とトレーニングで1年半ほど鍛えれば、2年目の途中からでも一軍参戦が見込める。

 今朝丸のストロングポイントは、決め球を持っていることだ。タテのスライダーに高速フォーク、さらに打者に的を絞らせないためのカーブもあるが、最大の魅力はバックスピンの効いた快速球だ。この球こそ、藤川監督と共通の必殺兵器だ。

 地元・兵庫には、高校生の "快腕"がもうひとりいる。村上泰斗(神戸弘陵/投手/180センチ・73キロ/右投右打)は、1位で指名されてもおかしくない実力派右腕。今夏の兵庫大会はまさかの2回戦敗退だったが、甲子園で投げていれば大騒ぎされていたに違いない。

 80%の力感からスピンの効いた快速球を投げ、すべての球種でストライクが取れる変化球の精度も高い。なにより瞬発力抜群の腕の振りがすばらしく、2年間みっちり体力づくりを行なって、3年目から戦力になれると見る。

 さらに、上位指名がふさわしい将来性豊かな投手なら、今夏の県大会で140キロ台後半のストレートと140キロ台前後のカットボールを武器に、1試合19奪三振を記録した堀江正太郎(文星芸大付/投手/187センチ・81キロ/右投右打)、素質抜群の狩生聖真(かりゅう・しょうま/佐伯鶴城/投手/186センチ・72キロ/右投右打)がいる。

 左腕なら、高橋幸佑(北照/投手/178センチ・80キロ/左投左打)も楽しみな逸材。神奈川の中学(軟式)から津軽海峡を渡った時には、120キロも出なかった小柄な左腕が、3年間で見違えるような快速サウスポーに成長した。アベレージ140キロ前半のストレートはまだまだ伸びしろを秘めており、スライダー、フォークの変化球も一級品だ。

【ピンポイント補強でチーム力アップ】

 左腕といえば、今シーズン中継ぎで70試合に登板し、40ホールド、防御率1.79の好成績を挙げた桐敷拓馬を、来季は"ひとり"にしておいてはならない。すぐに使える左投手がほしい。

 社会人4年目の今季、エースとして都市対抗で奮闘した吉田聖弥(伊万里農林→西濃運輸/投手/176センチ・80キロ/左投左打)は、140キロ台前半のストレートとスライダーでカウントをつくり、緩急を生かしたチェンジアップで打者を仕留める。

 もうひとり伊原陵人(智辯学園→大阪商業大→NTT西日本/投手/170センチ・75キロ/左投左打)は、常に関西のトップチームで主戦を担ってきた投手。ストレートに強さが増し、武器であるカットボールの精度も年々上がっている。ストライク先行のピッチングができることも強みだ。

 今季の阪神を見て、昨年と大きく変わったのが盗塁数(79個→41個)だ。「足にスランプはない」と言われるが、実際は体調、メンタルによって大きく影響する。それほど走塁、盗塁というのは難しいものだ。

 快足ランナーなら、何人もいるぞ。全員が50m5秒台の韋駄天ばかり。どうせなら一芸じゃなく、二芸、三芸のほうがいい。

 庄子雄大(横浜→神奈川大/遊撃手/178センチ・73キロ/右投左打)は足だけでなく、神奈川大学リーグで通算100安打を記録したシュアで広角に打てる打撃が持ち味。

 また、小柄でも瞬発力抜群の長打力に鉄砲肩も兼備する寺本聖一(広島商→広島経済大/外野手/170センチ・85キロ/右投左打)は、納得するまで練習を止めない"野球の虫"でもある。

 ほかにも、スピード感溢れるフィールディングに痛烈なセンター返しのバッティングが魅力の浦田俊輔(長崎海星→九州産業大/遊撃手/170センチ・70キロ/右投左打)、すぐ一軍メンバーに入っても遜色ない高い実戦力を誇る宮崎竜成(創志学園→立命館大→ヤマハ/二塁手/173センチ・85キロ/右投左打)といった万能型選手に注目したい。

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