ラグビー日本代表(世界ランク14位)のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、64)が、豊富な経験で歴史的初勝利に導く。
24日、過去7戦全敗のニュージーランド(NZ)代表「オールブラックス」(同3位)に挑むテストマッチ「リポビタンDチャレンジカップ2024」(26日午後2時50分開始、日産スタジアム)の登録メンバー23人を発表。横浜市内で午前は全体練習を指揮し、午後の記者会見では開口一番で「シーズンで一番大切な試合を位置付けている。若いチームが新しく歴史をつくるチャンス。準備は万全。スタートから最後まで80分間、ジャパンのプレーを見せつけたい。選んだ23人であれば、必ずできると信じている」と力を込めた。
今から11年前の13年秋、日本代表HCとしてのNZ戦指揮は幻となった。10月に頭痛を訴え、都内の病院に入院。脳梗塞と診断された。
記憶は曖昧ながら、3日後に目が覚めると、医師につぶやいた。
「ニュージーランド戦のコーチに行かないといけない」
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すぐに止められ、11月2日に6−54で完敗した一戦を画面越しで見た。当時を「11年前はチャンスをつかめなかった」と振り返る。
24年1月、日本代表HCに復帰した。南アフリカから歴史的勝利を挙げた15年W杯イングランド大会後に退任し、以降はイングランド、オーストラリアのHCを務めた。19年W杯準決勝では、日本の地でイングランドを率いてNZを倒した。持論は確立されている。
「これまで20回ほど、NZと対峙(たいじ)してきた。NZに勝つ唯一の方法は相手を攻め続けること、追い詰めていくことです」
10月中旬からの宮崎合宿では、その部分を徹底した。右肘の手術から復帰した姫野和樹(30=トヨタヴェルブリッツ)をフランカーで先発起用。8月に完敗したフィジー戦での課題を踏まえ、ボール争奪戦周辺の攻防で存在感を期待する。
「ラック周りのキャリー(ボール持っての突進)、ディフェンスにたけている。攻撃では(次の展開へ)クイックボールがほしい」
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精度の高いキックを蹴り込み、整ったチェイスをかけることで、陣形が崩れた状態での攻撃を得意とする相手を封じにいく。相手陣での旗印「超速ラグビー」展開が理想の戦いとなる。
「集団的なスピードを持って、相手にどんどん立ち向かっていく。ボールインプレー(実際にプレーが行われている時間)が35分であれば、一瞬、1秒も無駄にしない。選手たちは人生を懸けて大舞台に立つと自覚し、今回のチャンスをものにすることで人生が変わる。我々だけでなく、子どもたちの夢でもあります」
記者会見の隣に立川理道主将(34=クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)が座った。ジョーンズHC不在の13年NZ戦では、今回と同じ先発SOを担った。当時は天理大卒業直後で23歳。負傷のため前半27分で途中交代となった一戦を「受け身の状態だった。いい思い出ではない」と振り返り、11年越しの決意を示した。
「今回はしっかりと準備ができている。勝つことだけを考えて、準備しています。自分たちが受け身にならないことが大事。エディーさんが言うように、最初から最後まで自分たちがプレッシャーをかけていく」
大一番まで、残り2日。
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後悔のない準備で、ラグビー王国に立ち向かう。【松本航】
◆日本代表登録メンバー
〈1〉岡部崇人(横浜キヤノンイーグルス)
〈2〉坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)
〈3〉竹内柊平(浦安D−Rocks)
〈4〉サナイラ・ワクァ(花園近鉄ライナーズ)
〈5〉ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)
〈6〉ファカタバ・アマト(リコーブラックラムズ東京)
〈7〉姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)
〈8〉ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
〈9〉藤原忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
〈10〉立川理道(主将、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
〈11〉マロ・ツイタマ(静岡ブルーレヴズ)
〈12〉ニコラス・マクカラン(トヨタヴェルブリッツ)
〈13〉ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)
〈14〉ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)
〈15〉矢崎由高(早稲田大)
〈16〉原田衛(東芝ブレイブルーパス東京)
〈17〉茂原隆由(静岡ブルーレヴズ)
〈18〉オペティ・ヘル(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
〈19〉エピネリ・ウルイバイティ(三菱重工相模原ダイナボアーズ)
〈20〉下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス)
〈21〉小山大輝(埼玉パナソニックワイルドナイツ)
〈22〉長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)
〈23〉松永拓朗(東芝ブレイブルーパス東京)
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