その女性は「良かったら、これどうぞ」と言って、手に取ったお米を売り場に戻してくれたのです。こうして私は貴重なお米をなんとか手に入れることができました。喜びとともに夫とタケルのもとに戻ります。しかし上機嫌で夫にお米を見せると……。
夫は何やら怪訝そうな顔をしています。「ちゃんとお礼言った? 譲ってもらっていたじゃん。前の人に……。あれじゃあ、ママたちが奪い取ったみたいに見えたよ?」私は思わずカチンときて強い口調で言い返します。「なにその言い方!」
やっとお米が買える……! そう思った矢先、タッチの差で女性がお米を手にしてしまったのです。しかし女性がお米を売り場に戻してくれたので、私はようやくお米を買うことができました。これで子どもたちにご飯を食べさせてあげられる、と心から安堵したのです。
けれど夫からは、私とツバサが女性に気を遣わせたあげくお米を「奪い取った」と言われてしまいました。私がどんな思いでお米を探していたか、夫には伝わっていなかったのでしょうか。せっかくの嬉しい気持ちが台無しになってしまったのでした。
【第3話】へ続く。
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