父親にも不凍液か、夫婦を殺人容疑で再逮捕へ 東京・台東区の連続死

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2024年10月24日 23:01  毎日新聞

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細谷健一容疑者(左)と志保容疑者=玉城達郎、岩崎歩撮影

 東京都台東区で2018年と23年に、姉と次女にそれぞれ不凍液を飲ませて殺害したとして夫婦が逮捕された事件で、17〜18年にかけて夫の父親にも不凍液を摂取させて殺害した疑いが強まったとして、警視庁捜査1課は25日にも、夫婦を殺人容疑で再逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で判明した。


 捜査関係者によると、医療機関に保存されていた父親の血液や診療記録を警視庁が調べたところ、不凍液を摂取した際に表れる数値の上昇が確認された。また、父親の体に変調が起きた時期に夫婦が不凍液をインターネットで購入していたという。


 再逮捕されるのは東京都台東区今戸1の元会社役員、細谷健一(43)と妻の志保(38)の両容疑者。


 捜査関係者によると、両容疑者は17〜18年にかけて自宅マンションの部屋などで、健一容疑者の父親の細谷勇さんに、自動車のエンジン冷却などに使われる不凍液を摂取させ、殺害した疑いがある。勇さんは18年6月に73歳で死亡した。


 勇さんは当時、両容疑者と同じマンションの別の階に住んでいた。17年ごろから体調不良を訴え、入退院を繰り返していたとされる。血液の難病「再生不良性貧血」と診断され、死因は敗血症だったとみられる。


 警視庁が病院に保存されていた勇さんの血液や診療記録を確認したところ、「クレアチニン」や「尿酸」などの数値が上昇していた。これらの上昇は腎機能の低下を示し、不凍液に含まれる有害成分「エチレングリコール」を摂取した後の変化と一致するとされる。


 スマートフォンやパソコンを解析すると、両容疑者は勇さんの体に変調が起き始めた時期と重なる17年以降、通販サイトで、数回にわたり不凍液を購入していたという。


 警視庁はこれらの証拠から、勇さんについても両容疑者が殺害に関与したと問えると判断したとみられる。


 健一容疑者の姉の美奈子さん(当時41歳)は18年4月に死亡したとされる。登記簿などによると、健一容疑者は同じ年の6月、勇さんの後を継ぎ、台東区内でホテルを経営する「ホソヤ産業」の代表取締役に就任。勇さんはその直後に死亡し、マンションも健一容疑者が相続した。


 警視庁はホテルの経営を巡って、家族間でトラブルがあったとの情報を得て、勇さんの死亡についても調べていた。健一容疑者の母親も18年1月に死亡しており、警視庁はこの経緯についても調べている。


 両容疑者は今年2月、次女の美輝(よしき)ちゃん(当時4歳)に対して23年3月に不凍液と向精神薬を摂取させ、殺害した疑いで逮捕された。その後、美奈子さんにも18年4月ごろに不凍液を摂取させ殺害したとして殺人容疑で再逮捕されていた。


 東京地検は両容疑者を鑑定留置し、今年9月に美奈子さんに対する殺人罪で起訴。美輝ちゃんの殺害容疑については処分保留とし、捜査を続けている。【岩崎歩、菅健吾、朝比奈由佳】



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