モバイルディスプレイもフォルダブルの時代に! 開くと17.3型になるASUSの有機ELモバイルディスプレイを試す

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2024年10月25日 12:21  ITmedia PC USER

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ASUS JAPANのフォルダブルモバイルディスプレイ「ASUS ZenScreen Fold OLED MQ17QH」。ボディーサイズは約36.82(幅)×28.68(奥行き)×0.97(厚さ)cmだ

 ASUS JAPANの「ZenScreen Fold OLED MQ17QH」は、17.3型の有機ELモバイルディスプレイだ。フォルダブル(2つ折り)構造を採用しており、画面を中央から折りたたんで持ち歩けることが大きなメリットだ。


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 現時点では国内発売が2024年内とのことだが、一足先にメーカーから機材を借用したので、レビューをお届けする。


●17.3型の大画面! アスペクト比が4:3であることにも注目


 まずは基本的な仕様をざっと押さえておこう。画面サイズは開いた状態で17.3型、解像度は2560×1920ピクセルと、モバイルディスプレイとしては珍しくアスペクト比が4:3であることが特徴だ。OLEDを採用しており、表面はグレア仕上げで、タッチ操作には対応しない。


 視野角は水平/垂直ともに160度、輝度は350ニト(HDR時500ニト)、リフレッシュレートは60Hz、応答速度はGTG時で0.2ms、コントラスト比は100万:1となっている。さらにDCI-P3の色域で100%をカバーする他、VESA DisplayHDR True Black 500認定も取得している。


 本製品はフォルダブルということで、本連載で過去に紹介した2画面タイプのモバイルディスプレイと異なり、つながった1つの大きな画面を折りたためるのが大きな特徴だ。折りたたんだ状態では12.5型になるので、モバイルノートと重ねて持ち歩く場合や、バッグの中に入れる場合も邪魔にならない。


 ちなみに画面中央の折り目は、点灯させない状態で見るとデコボコがはっきり分かるのだが、画面が点灯している状態では全く気にならない。このあたりは、いわゆるフォルダブルタイプのスマートフォンと近いところがある。本製品はOLEDということもあり、画面の映り込みがかなり激しいのがやや気になるが、構造上のひ弱さは全く感じない。


●重量は約1.17kgと軽量で付属品も充実


 背面にあるキックスタンドはプレート状で、折りたたむと本体と完全に一体化するタイプだ。横置きはもちろん縦置きにも対応しているが、角度の調節は構造上行えない。特に縦向きの場合は、かなり後方への傾斜がきつめなので、画面の上半分を手前に折り曲げて使った方が見やすくなる。


 接続方式はHDMIとUSB Type-Cという一般的な構成で、さらにイヤフォンジャックも搭載している。背面にはネジ穴が用意されており、三脚などへの取り付けも可能だ。


 重量は約1.17kgと、17型クラスであること、スタンドの重量も込みであることを考えると軽量だ。圧倒的に軽いかというとそうではないが、どちらかというと畳んでコンパクトに持ち歩けることこそが、セールスポイントと言っていいだろう。


 付属品はHDMIケーブルとUSB Type-Cケーブル、さらにUSB充電器に加え、三脚ソケットキット、持ち歩き用のポーチ、クリーニングクロスなどがセットになる。


●縦と横どちらでも余裕のある画面はフォルダブルならでは


 では実際に使ってみよう。PCと接続するためのポート類は左側面に集中している。この左側面にはOSDメニュー操作用のボタンも配置されており、本体を縦向きで使う場合は、この左側面が上に来る形となる。


 USB Type-Cポートは2基あり、機能的には同一だ。なおUSB Type-C接続の場合は、本体の輝度は30%までに制限されるので、それ以上明るくしたい場合は、別途USBケーブルを用いての給電が必要になる。他社製品のように初期値が30%にリセットされるだけで構わず輝度を上げられるわけではなく、補助給電なしでは30%止まりとなるため要注意だ。


 本製品は縦横どちらでも利用できるが、画面のアスペクト比が4:3と、天地に余裕があり、横向きの利用であっても窮屈さは感じにくい。そもそもの画面が大きいことに加えて、縦方向に広いこのアスペクト比によって、余裕のある表示領域を実現している格好だ。


 一方で縦向きに使おうとすると、かなり背が高くなってしまうので、ノートPCとの組み合わせではあまりバランスがよくない。逆にデスクトップPCとの組み合わせで使う場合は、縦向きの方が高さが合わせられるためバランスはよさそうだ。なお、Windows向けアプリ「DisplayWidget Center」を用いれば、画面の自動回転にも対応する。


 OSDメニューは、画面を横向きにした状態で左側面上部に配置されるボタンを使って操作する。ボタンは画面ごとに割り当てられる機能が変わるタイプで、操作性はあまり直感的とはいえないが、メニューの階層構造自体は分かりやすく、カスタマイズ性も高い。


 このOSDメニューは左上に表示されるレイアウトで、画面の向きと連動して表示が縦向きになるといったことはない。従って画面を縦向きに使っている場合は、90度回転した状態で操作せざるを得ない。タッチではなく物理ボタンで操作するが故の制限ということになる。


●フォルダブルであることにどれだけの価値を見出だせるか


 以上ざっと使ってみたが、本製品はフォルダブル構造により17.3型というビッグサイズを実現しており、迫力は圧倒的だ。アスペクト比が4:3で縦方向の情報量が多いことも一役買っている。ノートPCの画面が2つ並ぶというよりも、ノートPCとデスクトップ用のディスプレイを並べて表示している感覚に近い。


 実際に使っていて唯一気になったのは、最近のモバイルディスプレイではよく見られるパススルー充電に対応しないことが挙げられる。本製品に限らず、同社製品はUSB Type-Cポートを2基備えていてもパススルー充電は非対応であることが多いが、本製品に関しては安い買い物ではないため、機能的には全部入りであってほしいところではある。後継モデルがあればサポートを期待したいところだ。


 このパススルー充電を除けば機能面では不足も感じず、またフォルダブル構造であることで何らかのマイナスがあるわけでもないが、ネックとなるのはやはり34万1820円という実売価格だろう。


 この価格設定は、フォルダブルタイプのスマホだと20万円台なのが当たり前であることを考えると特に違和感はないのだが、一般的な17型前後のモバイルディスプレイと比べた場合の価格差は相当なものだ。ちなみに、以前紹介した同社の16型「ZenScreen MB16QHG」は実売6万円前後だったので、画面サイズは一回り小さいにしても、数倍の開きがあることになる。


 それゆえ本製品は、折りたたみができて持ち歩きやすいことに、どれだけの価値を見出せるかがポイントということになる。保証期間は3年と長いので、初期コストこそかかるものの、それだけの長い期間をかけて償却していく製品と考えた方がよいだろう。



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