【ハイキュー‼×SVリーグ】ウルフドッグス山崎彰都は月島蛍に共感 バレーは楽しくなかったのに、いつの間にか「好きになっちゃう」

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2024年10月26日 10:01  webスポルティーバ

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『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載(8)

ウルフドッグス名古屋 山崎彰都

 一見、体温が低そうで捉えどころがない。いや、捉えられたくないのか。自分のペースがある。

 山崎彰都は、パリ五輪前の日本B代表に選ばれるなど、SVリーグで有数のアウトサイドヒッターである。2022−23シーズンはウルフドッグス名古屋の優勝をけん引。実力者だが、涼やかな視線で女性人気も高い。

 物心がついた時には、バレーボールが傍らにあったという。8歳上の兄、4歳上の姉がバレーをしていた。彼自身、よく試合を観に行った。小学1年でバレー少年団に入るのは"既定路線"だった。

 ただ、週4回の練習で、練習1回につき1回は泣いていたという。監督に怒られるのが心の底から嫌だった。

「正直、小、中、高校の途中まではバレーを楽しいと思っていなかったです」

 山崎は言う。

「当時は親などに『やめる』と言っても、やめさせてくれる時代じゃなくて、『バレーで人として成長してほしい』という感じでした。ただ、自分は"やめたい"とは思っていなくて。練習はきつかったし、怒られるし、監督は怖かったけど(笑)、続けました。高校にもバレーで進学した感じで、やめるにやめられないということはありましたが、嫌いというわけではなかったです」

 白か黒か、で片付けられない思いがあるのだろう。

「兄、姉がバレーをやる姿を見ていて......心のどこかで兄がスパイクを打つ姿に憧れがあったと思います。兄は自分よりもデカくて力強くて、『こうなりたい』って。でも、さっきも言いましたが『楽しい』という記憶はあまりないです」 

 彼はそう言って、くすぐったそうに笑う。簡単に「バレーが好き」とは言わない、その一途さと気難しさが彼の土台を形成しているのだ。

「逆に、小1の時の自分に聞いてみたいですね。『何が楽しくて、"やめたい"ってなんなかったの?』って(笑)。ちっちゃい頃は何を目標にやっていたのか。今は試合で勝って楽しいし、負けて得られるものも多いし、収穫はあるんですが......」

 そこで、ひとつの質問を投げた。

――タイムマシンで過去に行き、小1の彰都くんに会えたら、なんと伝えますか?

「『もうちょっと、ちゃんとやれ』って言いたいです(笑)。特に高校の自分に言いたい。隙があればサボっていたんで。練習が嫌っていうよりは、自分が主力選手で天狗になったところもあって。熱血は好きじゃなかったし(笑)。

(それに対する小1の自分の答えは)どうですかね、バレーにそこまで興味がなかったので......。でも、日本代表でプレーすることになるって聞いたら、『すごい』って言うかな。『でも、テレビ出てないんでしょ?』とか言いそうですけど(笑)」

 山崎が痺れた試合がある。一昨年に優勝した試合。いつも激闘になる宿敵・サントリーサンバーズ大阪との決勝戦は、異様な緊張感に包まれていた。そこで最後の1点を決め、会場全体が盛り上がった時は頭が真っ白になったという。

 その情景こそ、バレーの引力の正体か。

 最後に、これから見たい景色を聞いた。

「少なくとも、オリンピックではないですね。重圧がすごすぎて、出たいですけど、今はそれに耐えられる自信はない。代表にも選んでもらいましたが、入れるとは思っていなかったんで(苦笑)。下の子もいっぱい入ってくるでしょうし......。今の目標は近く、SVリーグでチームが勝てるプレーをしたいです」

 彼らしい"噓がない"返答だ。

【山崎が語る『ハイキュー‼』の魅力】

――『ハイキュー‼』、作品の魅力とは?

「僕は月島(蛍)くんが好きです。高校までミドルブロッカーやっていたし、彼も"楽しい"と思いながらバレーをやっていたわけではなかったので、共感できました。それが、春高バレーの県予選の白鳥沢戦から、月島くんはバレーボールが好きになりだすじゃないですか? そんなに好きじゃなくても、好きになっちゃう。それがバレーなのかなって思います」

――共感や学んだことは?

「音駒と対戦したチームが、最初はエースがスパイクを決めるんですけど、だんだん上げて上げられて、次第に絶望的な表情になるんですよ。それを見た東峰さんが『吐きそう』って言うんですが、自分も同じポジションでわかるなって(苦笑)」

――印象に残った名言は?

「日向(翔陽)の『まだ負けてないよ』ですかね? 実際、そういう場面はあるんですよ。点差は開いていても、まだ追いつける、巻き返せるって。これまで何回も経験しています」

――好きなキャラクター、ベスト3は?

「1位は月島ですね。2位はウシワカ(牛島若利)。自分も、絶対的エースを目指していた時があったので。あとは、自分もやっていたミドルに目が行っちゃうんですが、天童(覚)のウザい感じが好きだから3位に。高校生の時、自分もまっすぐ跳ばず、わざと体勢を変化させて跳んで、いきなり手を出してブロックしていたんで......あんなに煽ったりしないですけど、ニヤニヤしながら(笑)」

――ベストゲームは?

「烏野vs白鳥沢です。月島がウシワカを止めたとき、鳥肌立ちました。止めた時よりも喜ぶシーンがいい。月島は兄がバレーをやっていて、試合を見に行ったけど出てなくて幻滅して、"バレーなんて"って感じだったんですが......。バレーは好きじゃないって感じを出しながら、なんだかんだやるタイプは好きですね(笑)」

(連載9:ウルフドッグス小山貴稀から見た『ハイキュー‼』は「教科書」 「雑草」がSVリーガーになるまでを振り返る>>)

【プロフィール】
山崎彰都(やまざき・あきと)

所属:ウルフドッグス名古屋

1997年10月16日生まれ、 宮城県出身。190cm・アウトサイドヒッター。兄、姉の影響で小学1年からバレーを始める。東北高、東海大学を経て、2020年にウルフドッグス名古屋に入団。2022−23シーズンの優勝に貢献した。2022年からは日本代表登録メンバーに選出されている。

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