【ハイキュー‼×SVリーグ】ウルフドッグス小山貴稀から見た『ハイキュー‼』は「教科書」 「雑草」がSVリーガーになるまでを振り返る

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2024年10月26日 10:01  webスポルティーバ

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『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載(9)

ウルフドッグス名古屋 小山貴稀

「『雑草魂で頑張れ』って言われてきて、雑草なりに頑張ってきたと思います。親以外にも、いろんな人に感謝で。本当は、ここまで来られるはずがないんで......」

 SVリーグの強豪ウルフドッグス名古屋のミドルブロッカー、小山貴稀は自らのキャリアをそう振り返った。

 小学生の時はバスケットボールをやっていたが、中学1年でバレーボールを始めた。きっかけは「善意」。なかなか独特だ。

「兄2人はどちらもバスケで、"自分もバスケをする人生かな"と思ってやっていました。でも中学に入って、仮入部でバレーも行ってみたんです。『おもろいな』とは思いましたが、バスケ部は兄たちもいて『1年から出すから』と監督に言ってもらって......。

 でも、もう一度バレー部に行った時、顧問の先生が『5人だと試合ができずに廃部になる』と。その時はなんのことかわからなくて(笑)。『親と相談します』となって、先生が怖いことも判明したんですが。"自分が廃部を助ける"と思ってバレー部に入りました(笑)」

 最初のポジションは、セッターだった。もっとも、専門的な知識はない。チームも女子のほうが強く、トスも上げてもらうほどで肩身は狭かった。男子バレー部は、兵庫では「最弱」だったという。

「同期で3人が入ったんですけど、ひとりは厳しいのでやめて2人になってしまって。やめるわけにはいかないじゃないですか(笑)。その同期とは仲がよくて、『やめたい』と言うと、『やめるな、俺がひとりになる』と引き止められました。まあ、嫌いじゃないから、どのみち続けていたと思うんですけど」

 高校は名門の尼崎に進学した。長身だったことで呼ばれた県内の合同練習で、たまたまスカウトの目に留まったという。それは、「善意」でバレーを続けてきたことの"御利益"だったのか。

 しかし高校では、練習についていくだけで精一杯。ミドルブロッカーとしてクイックをやり出したばかりで、1年生のうちからレギュラーで試合に出られるはずもなかった。

「雑草」

 彼はそう自覚し、それがアイデンティティになった。

 高校2年のある大会の前、先輩が手術を受けることになり、お鉢が回ってきた。

「その前日、おばあちゃんが亡くなったんです。監督にはそれを言わずに、『(試合に集中して)頑張ろう』と。そうしたら、その大会で結果を出して個人賞も受賞したんですよ。下手なりに頑張っていましたが、おばあちゃんに感謝ですね」

 小山は優しい目で言う。高2は大きな分岐点になった。その年、アンダー世代の代表にも選出され、アジアから世界大会を経験した。

 そして大学でも第一線でプレーを続け、SVリーガーとしての今につながる。

「高校までに『バレーをやめよう』って思ったことは何回もありますよ。『やりたくない』と思うんですが、体育館に行ったら始まっちゃう(苦笑)。つらいこともありましたが、全部を笑い話にして続けました」

 今も雑草魂を燃やし、コートに立つ。

【小山が語る『ハイキュー‼』の魅力】

――『ハイキュー‼』、作品の魅力とは?

「"リアルなバレー漫画"ってところじゃないですかね。バレーを始める時の教科書というか......自分が(小学生の時に)バスケを始めたきっかけは『SLAM DUNK』で、バレーは『ハイキュー‼』でした。

 高校では漫画がめちゃくちゃ人気でした。バレーを始めるきっかけになるし、プレーは超人的ではあるけどギリギリあり得そうだから、『もっと上手くなりたい』ともなる。月島(蛍)みたいにバレー好きじゃなかった選手も、バレーが好きになるのがいいですね。白鳥沢戦でウシワカ(牛島若利)をブロックで止める感じとか、自分もミドルだから『あるある』ってなります」

――共感、学んだことは?

「(灰羽)リエーフが好きなんです! スパイクしか打てなかったのが、セッターの(孤爪)研磨のおかげで、どんどんうまくなっていくのが面白いです」

――印象に残った名言は?

「ウシワカ(牛島若利)は圧倒的で、烏野が圧倒されかける試合が印象に残ってます。食らいついていく烏野の選手たちの表情なども。やられている側の心境はそうなるんだろうなと。その前に、インターハイ予選で負けた後にウシワカと会った時、日向(翔陽)が『あなたをぶっ倒して全国に行きます』と言い放ったのが好きですね」

――好きなキャラクターのベスト3は?

「1位はリエーフ。2位はウシワカですね。あの静かな感じで、感情を出さないのにすごい選手って本当にいるなって思います(笑)。3位は......月島の物語は好きですけど、よくしゃべるキャラのよさも含めて木兎にします!」

――ベストゲームは?

「Vリーグでの試合も、すごく面白かったです。日向がビーチバレーから戻ってきて、他にも『このキャラもいたな』となるところも。でも、ベストゲームとなると稲荷崎vs烏野ですかね。この試合はめっちゃ覚えていて、特に宮侑・治兄弟がよかった。実は自分が通っていた市立尼崎高が、稲荷崎のモチーフになっているという噂があって。10歳以上先輩に辻口智也・泰地さんという双子の兄弟がいたので、それなのかなと思いながら読んでましたね」

【プロフィール】
小山貴稀(こやま・たかき)

所属:ウルフドッグス名古屋

1997年11月23日生まれ、兵庫県出身。191cm・ミドルブロッカー。中学1年からバレーを始め、市立尼崎高2年から活躍。2014年にU18日本代表としてアジアユース選手権に出場し、チームの準優勝に貢献。翌年にはU19日本代表として世界ユース選手権に出場。大阪産業大学に進学後も各世代の代表に選出され、アジアジュニア選手権や世界ジュニア選手権に出場した。2020年にウルフドッグス名古屋に入団。

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