【漫画】「善人なんて損をするだけ」 悪魔になりたい天使を描いた異色ドラマ『ムテキのじゃまもの』が凄い

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2024年10月26日 13:00  リアルサウンド

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『ムテキのじゃまもの』より

 “善人なんて/損するだけだ”「私は絶対/人を幸せにする自分は天使(善人)にはならない!!」と思い、悪魔になることを目指して人間界に降りてきたムテキちゃん。彼女と2人の男子高校生のとある変化を描いた漫画『ムテキのじゃまもの』が2024年10月にpixivで投稿された。


(参考:漫画『ムテキのじゃまもの』を読む


 ムテキちゃんが出会った2人は仲が良さそうに見えつつも、お互いに胸に秘めた思いがありーー。


 善人であろうとすることの苦労、思春期特有の葛藤が描かれる本作。創作のきっかけや作品に込めた思いなど、作者・田宮るいさんに話を聞いた。(あんどうまこと)(あんどうまこと)


ーー本作を創作したきっかけを教えてください。


田宮るい(以下、田宮):有名人に対する世間の反応を見ているなか、キャラクターとして「いい人」認定された人はいい人らしい行動が求められたり、キャラクターに反する行動をするとがっかりされる風潮を感じていました。


 周りから「いい人」と言われることは嬉しい反面、息苦しさもあるかもしれないとも感じ、そんな葛藤をテーマにした漫画を描きたいと思い本作を創作しました。


ーー周りのイメージとのギャップに葛藤するキャラクターとして、天使・ムテキちゃんは描かれていたと感じます。


田宮:そうですね。序盤ではムテキちゃんにとって人は自分を利用しようとしてくる敵であるという認識を強調し、人を傷つけることをいとわないキャラクターとして動かしました。


 ただ自分が傷つけようとしたアジくんは自分を利用しようとは思っていなかったことに気づき、思いが変わって手助けをするようになる……。根の部分では「本気で悪いことをしたいわけじゃない」という思いを抱いていることを意識しながら、ムテキちゃんを描きました。


ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンは?


田宮:26ページ目、ナルくんが「俺だって…/わざわざこんなことしたくねーっての…」と言うシーンです。わざわざ自分に近づかないでくれたら相手だって傷つかないし、自分も悪者にならないで済むーー。そんなナルくんのような経験が自分自身にもあり、ナルくんに共感を覚えながら描いたシーンでした。


ーー互いに悩み合う、思春期を迎えたナルくんとアジくんを描くなかで意識したことは?


田宮:アジくんは自分の気持ちに素直でありつつも、自分を取り巻く環境には鈍感な、天然っぽさのあるキャラクターを意識しました。読者の方に「応援したい」と思ってもらえたらいいなと思いながら描いていましたね。


 ナルくんはアジくんと対照的に、周りの目を気にするようになったキャラクターとして描きました。その反面、周りの目がないときは昔みたいに感情をわかりやすく出してしまいますが、決して相手を傷つけたいわけではなくて。


 「いい子ちゃんなんかクソくらえ」と思いながらも、完全に開き直ることもできない……。そんな葛藤を抱えた高校生であることを意識しました。


ーー最後に描かれたムテキちゃんの台詞「これからも自由に選びますよ/幸せにしたい人は」が印象に残っています。一概に「いい人」とは言い難い、リアルな優しさと言いますか……。


田宮:私自身なにか嬉しいことがあっても、裏があるのではないかと思ったりなど、素直に幸せを受け入れられないタイプでした。ただ、そんな人は誰かの働きかけによって幸せを得られても、自分が変わらないと幸せを感じることはできないと思います。


 ムテキちゃんも天使になれたからといってみんなに幸せを届けるのではなく、アジくんみたいに「幸せ」を素直に受け取れる人のお手伝いをしたいという気持ちを抱いたのだと思います。


ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。


田宮:幼い頃から漫画を読むことが好きで、小学生の頃に「自分も漫画家になりたい」と思い漫画を描きはじめました。最初は自分の好きなように描いており、本格的に漫画の勉強をしたり、出版社への持ち込みを始めたのは5年程前からです。


ーー漫画を描き続けるモチベーションや思いは?


田宮:漫画が出来上がったときの開放感、達成感がうれしいですし、待ちに待った“ご褒美コマ”を描いているときは楽しいです。人生の目標として漫画をずっと描き続けたいと思っているので、漫画を描くことをやめられないと言いますか、漫画を描くことをやめてしまったら「なんで生きてるんだっけ」みたいな気持ちを抱いてしまうと思います。


ーー今後の目標を教えてください。


田宮:漫画家になることが幼い頃からの夢なので、これからも試行錯誤しながら作品をつくり続けていきたいなと思います。また「コミティア」(一次創作物の即売会)にも憧れがあり、いつか出展者として参加してみたいです。


(あんどうまこと)



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