【NBA】河村勇輝がデビュー、父影響で憧れた「神様」と同じ舞台で小兵選手の「神様」目指す

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2024年10月26日 21:14  日刊スポーツ

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ロケッツ戦に出場したグリズリーズ河村勇輝(AP)

<米バスケットボールNBA:ロケッツ128−108グリズリーズ>◇25日(日本時間26日)◇米テキサス州ヒューストン◇トヨタ・センター



グリズリーズの河村勇輝(23)が日本選手4人目となるNBAデビューを果たした。敵地でのロケッツ戦の後半に出場し、約3分半のプレーで1アシストを記録した。身長173センチは現役のNBA選手で最も低い。Bリーグ出身の日本勢で初めて最高峰の舞台に足を踏み入れ、新たな歴史を刻んだ。試合は108−128で敗れた。


   ◇   ◇   ◇


1番小さな男が「神様」の舞台に立った。第4クオーター、残り3分34秒。河村が深々とお辞儀をし、コートの内へと歩を進めた。「夢がかなった瞬間は特別だった」。ただ、その余韻に浸ったのはわずか。「流れを良くしたい」と、104ー123と大勢が決しかけた終盤の出番に期した。逆転の望みが薄くても、勝利を求めた。


何度、古いビデオテープを見ただろう。「父が本当にマイケル・ジョーダンが大好きで」。NBA最高の偉人が3度目の引退をしたのは03年。2歳の頃だ。ただ、録画映像が道標となった。「こんな選手がいたのか」。小2で競技を始め、年を重ねるほどにあこがれは増した。「ゲームを支配する人、観客を魅了する人。引退してもずっと記憶に残る」。バスケ界の神様の導きでNBAを目指した。


Bリーグ時代から高い意識を持った。パリ五輪を目指し、22年に東海大を中退してプロへ。横浜BCで司令塔に抜てきされた22−23年のレギュラーシーズン最優秀選手賞に輝いた。大型選手と激しく体を当たり合うため肉体改造に励み、高校時代の63キロから72キロまで増量。「クイックネス、スピードは失うことなく強さを手に入れたい」と進化した。


この日も俊敏性を際立たせ、さらに「武器」も披露した。残り1分34秒、ドリブルで切り込んで仲間へ放ったノールックパス。初アシストを記した。9月にキャンプに無保証契約で参加し、オープン戦全5試合に出場。1試合平均約15分のプレーで3・4得点、4・2アシスト。実力で仲間の信頼を集め、下部Gリーグでプレーしながら、NBA公式戦に一定数出場できるツーウエー契約を勝ち取った。「信頼関係が大事」というトリッキーなパスがつながった事が、チームで増す存在感を示していた。


小兵選手でもNBAで活躍できる姿を示せれば、バスケットボール界への貢献になる。強い自覚がある。「自分の夢の延長線上に子どもたちの夢が詰まってる」。小さな子の「神様」となるために、いま始まりのブザーが鳴った。

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