【沢木敬介】オールブラックスに完敗の日本、攻撃で勢いを失った時の“出口”の引き出しに課題

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2024年10月26日 21:23  日刊スポーツ

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日本代表対ニュージーランド代表 ニュージーランド代表オールブラックスに敗れた日本代表(撮影・中島郁夫)

<ラグビーテストマッチ・リポビタンDチャレンジカップ2024:日本19−64ニュージーランド>◇26日◇神奈川・日産スタジアム◇観衆6万57人



日本(世界ランク14位)がニュージーランド(NZ)「オールブラックス」(同3位)に完敗した。10トライを許して19−64の大差となり、通算成績は8戦全敗。12−14の前半22分に逆転トライが幻となり、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、64)は以降の前半5連続トライ献上に精神面での課題を挙げた。今後は欧州遠征に向かい、11月9日(日本時間10日)に敵地でフランス(同4位)に挑む。リーグワン1部横浜監督の沢木敬介氏(49)は第三者の目で、日本が直面する課題を分析した。


   ◇   ◇   ◇


日本は攻撃で勢いを失った時の“出口”に引き出しがなかった。試合開始から10分間は理想的。ボールを持って前進できる選手を的確に配置し、ラック際の攻撃が機能した。前半5分にSH藤原とWTBナイカブラがラック際を崩し、トライにつなげたのも、事前の準備通りだろう。前半を通してFWのスクラムが安定したのは、大きな収穫だ。


以降は相手が対応してきた。そうすると序盤のような攻撃の勢いを失う。その“出口”の形が課題だ。今の日本はボールを保持しながら攻めて、キックは少ないスタイル。こだわるのであれば、異なるスペースを突き、再び勢いをつける引き出しが必要だ。それが見えないまま攻撃を続けて“出口”がターンオーバー(ボールを失う)になった。これが相手の反則になれば、得点や、前進した上での次の攻撃へつなげられる。


今のスタイルに不可欠なのは、圧倒的なフィットネス。走り勝つだけでなく、どれだけ疲れた時も、冷静に判断できる次元が求められる。過去に世界最強だったNZの練習を見る機会があったが、彼らも疲れた時に膝に手をついていなかった。防御は1対1のタックルも精度を欠き、この日の成功率は62%。格上に勝つために80%以上が必要だ。


現代のラグビーで、キックの重要性は高まっている。今のスタイルにこだわるにしても、全体を押し上げる効果的なキックは必要になる。敵地で環境面でも重圧が懸かる欧州遠征へ、向き合うべき部分だ。(横浜キヤノンイーグルス監督)

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