20年、30年…再審手続き、なぜ長期化する? 日弁連は法改正訴え

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2024年10月28日 18:14  毎日新聞

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毎日新聞

異議申し立て断念の一報を受けて喜びを語る前川彰司さん=福井市内で2024年10月28日午後4時37分、萱原健一撮影

 福井市で1986年に中学3年生の女子生徒(当時15歳)が殺害された事件で、殺人罪で懲役7年が確定して服役した前川彰司さん(59)の第2次再審請求を認めた名古屋高裁金沢支部決定に対し、検察当局は28日、異議申し立てを断念すると明らかにした。決定が確定し、前川さんの再審公判が開かれることになる。無罪となる公算が大きい。


 再審はまず、請求審で裁判をやり直すべきか審理し、再審開始の結論となれば再審公判を開いて改めて裁判所が判決を出す。請求審の段階で時間がかかっているのが現状だ。


 再審の手続きは刑事訴訟法に定められているが、全体で500条以上あるうち、わずか19条しかない。検察が持っている証拠を弁護側に開示するルールがなく、検察の不服申し立てを制限していない。これらが長期間となる要因とされている。


 鹿児島県大崎町で1979年に男性が殺害された事件では、懲役10年が確定して服役した原口アヤ子さん(97)の再審請求が約30年続いている。現在の請求は4回目。過去には地裁と高裁支部が立て続けに再審開始を認めたが、最高裁が一転して退けるなど複雑な経緯をたどっている。


 58年前に静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した後、今月に再審無罪が確定した袴田巌さん(88)の最初の再審請求は81年だった。今回の福井の女子中学生殺害事件も再審を求め始めて20年となる。


 こうした再審請求の状況について、日本弁護士連合会は2023年、「冤罪(えんざい)被害者の救済という重要な役割を果たせていない」として、刑事訴訟法の改正案を発表した。証拠開示の法制化、不服申し立ての禁止などを盛り込んだうえで「速やかな再審法の改正を」と求めている。【木島諒子】



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