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働き方の選択肢を増やす施策として、導入する企業・自治体が増えつつある「週休3日制」。伊予鉄グループ(松山市)は2023年の10月に、1日当たりの勤務時間を延長する代わりに、給与水準を維持したまま毎週水曜日を休日とする「完全週休3日制」を導入し、話題を集めた。
【画像】JR西日本の育児・介護支援制度、一覧はこちらから(計1枚)
また、希望により週休3日を選べる「選択的週休3日制」を可能とする制度も広がっている。日立製作所は2023年に、1日当たりの勤務時間の下限を撤廃し、総労働時間を維持する形式でこれを導入。中部電力も2024年4月から取り入れたほか、トヨタ自動車も同様の形での検討を進めている。
こうした企業では、どのように制度の整備を進めてきたのか。2025年4月から全社員のうち約6000人を対象に選択的週休3日制を導入すると発表した、JR西日本の広報担当者に経緯を聞いた。
●6000人が対象に
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JR西日本において、選択的週休3日制を選択できるようになるのは、全社員2万4300人(単体、2024年4月1日時点)のうち約6000人。主にオフィス部門で働く社員や、工務系の現場で企画や社員教育などを担う社員が対象となる。
1カ月分の実績労働時間から、1日の所定労働時間(7時間45分)を差し引く代わりに、その月の任意の1日を事実上の休日(勤務しない日)に設定できるようにした。ただし、使用時期が偏らないよう、勤務しない日は「1週間に1日」を上限としているという。
制度は労働組合の要望を受け、労使間の協議を経て設計、導入に至った。「仕事と育児の両立支援という目的のほか、育児や介護に携わる社員に限らず、柔軟な働き方の実現と社員のワークエンゲージメント向上を目的としています」(同社)
●子育て・介護支援をアップデート
「週休3日」というとインパクトの強さが目立つが、JR西日本は働き方の柔軟性を高める施策を、以前から段階的に進めてきたという。
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まず、社員フレックスタイム制の整備だ。2014年度にはコアタイムを廃止し、2023年度にはフレキシブルタイム(出勤・退勤が可能な時間帯の指定)も廃止。月間の所定労働時間さえ満たせば、時間帯や労働時間を問わず柔軟に働くことができる制度として機能しているという。
また、3歳までの子を養育する社員を対象に、1日の所定労働時間を7時間45分から6時間に短縮する「短時間勤務制度」を2010年に導入。このほか育児に携わる社員については、休日数を増やした働き方も整えてきた。
2013年度には、小学6年生までの子を養育する社員を対象に、所定の休日に加えて1カ月に4日、または2日の休日を指定できる「短日数勤務制度」を導入。2017年1月からはこれを、要介護状態にある家族を持つ社員にも拡大した。このため、以前から同社では「育児や介護をする社員については、実質的に週休3日程度の働き方を選択できる環境だった」という。
なお、2018年度からは、小学3年生までの子を養育する乗務員を対象に、月に追加できる休日数を「8日」に増やし、2024年12月からは乗務員以外にも対象を拡大。場合によっては、実質的に「週休4日」程度の働き方も選択可能ということになる。
同社は現在も制度のアップデートを続けており、2024年12月からは、難病・障がいを持つ子を養育する社員について、子の年齢が中学生以上でも、月に4日または2日の休日を取得可能とした。育児・介護の有無を問わない週休3日制の導入も、こうした施策の延長線上にあるものだといえるだろう。
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●「メリハリをつけて働ける」の声
選択的週休3日制を導入すると「会議の日程が合わせづらくなる」といった声も上がりそうだが、こうした懸念も以前からの取り組みによってある程度払拭できていたようだ。同制度を用いる場合などは、「業務に支障をきたさないよう、上司に報告することにしている」という。
「Teamsなどのコミュニケーションツールも全社に導入しており、社員の勤務時間や勤務日にばらつきがあったとしても、コミュニケーションを取りやすい環境を整えています。こうした状況も踏まえ、選択的週休3日制の導入に至りました」(同社)
導入の決定後は、特に育児・介護と両立しながら働く社員から、「ワークライフバランスを意識しながら、メリハリをつけて働けるようになる」といったポジティブな意見が多く集まったという。JR西日本は取材に対し、「社会情勢の変化や導入後の運用状況などを踏まえ、引き続きよりよい制度を設計していく」とコメントした。
同じくフレックスタイム制などで働き方の自由度を高めている他企業においても、同様の動きは広がるか。今後とも注目される。
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