コロナ禍により、急速に普及した在宅勤務。通勤時間がなくなるなどのメリットがある一方で、活動量が減るなど健康に悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。公益財団法人明治安田厚生事業団(東京都新宿区)が、首都圏在住勤労者の身体活動を活動量計で実測した調査によると、週5日以上在宅勤務している人の1日の歩数は「約4000歩少なく」、座位時間が「約70分多い」ことがわかったそうです。
【調査結果を見る】在宅勤務で1日の歩数と座位時間はどう変わった?
調査は、2022年4月〜2023年3月の期間に、首都圏在住の勤労者(オフィスワーカーや営業職)1133人の腰に活動量計を装着、普段の身体活動量や座位行動時間を測定したといいます。なお、研究期間中に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置は発令されておらず、日常生活に影響を与えると考えられる感染症対策は求められていませんでした。
その結果、週1〜2日であっても在宅勤務を実施している人は、まったく実施していない人よりも身体活動量が少なく、座位行動が多いことがわかりました。
また、在宅勤務の頻度が多いほど活動量が少なく、毎日出社している人に比べて、週5日以上在宅勤務している人では、1日の歩数が「約4000歩少なく」(毎日出社7215歩、在宅勤務3194歩)、座位時間が「約70分多い」(同584分、同658分)ことが示されました。
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さらに同研究では、こうした在宅勤務に関連した活動量の低下が顕著な集団がいることが明らかになりました。具体的には「40歳以上」「女性」「教育歴が高校卒以下」「運動や食習慣の改善に対して無関心な勤労者」において、在宅勤務に関連した活動量の低下が著しいことが明らかになりました。
なお、同事業団では、「在宅勤務頻度と身体活動や座位行動の因果関係は明らかになっておらず、在宅勤務を行う環境や通勤手段等が異なる他の地域・職種の勤労者に対して、得られた結果が当てはまるかについては、更なる検討が必要」としているものの、これまでの研究から、「座りすぎや不活動状態が心身の健康に悪影響を及ぼすことがわかっており、在宅勤務の長期化により、新たな健康リスクが高まることが懸念される」と述べています。