「闇バイト」が関与した強盗事件が相次ぎ発生している。
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「すぐ稼げる」「リスクなし」。そのような魅力的な言葉にひきつけられ、SNSやネットなどを通じて応募すると、いつの間にか後戻りできなくなる状況に追い込まれていく。
警察庁は今年10月、闇バイトをしている人、これからしようと思っている人に向けて、離脱を呼びかける異例のメッセージを発信した。
闇バイトの誘惑は身近に転がっている。生活苦から一度は闇バイトに手を染めかけ、警察と弁護士に叱られたという女性は、目先のわずかな報酬で家族を危険に晒したと後悔している。
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都内で3人の子どもと暮らす30代のシングルマザーは「闇バイトに複数応募したことがあります」と話す。
女性はDVで逮捕された元夫から逃げるように縁のない土地にたどりつき、そこで子どもの就学援助なども受けているが、「明日はわからないような現実に今は生きている日々」だという。
子どもの卒入学が重なって、どうしても「自力で約15万円を工面する」必要に迫られたことから、「日払い、身分証不要、在宅、高収入、単発、副業」といったワードをネットやSNSで検索した。
Xなどでつながった複数のアカウントからバイトの内容を説明された。どうやらオンラインカジノや仮想通貨に関わるものらしい。
「ホワイト案件」「リスクがない案件のためあまり高額ではないバイト」
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案件をこなして対価を得るには、アプリをスマホにインストールする必要があるという。「ホワイト」などを強調され、信用できる気がして、アカウントから紹介された相手と通話した。
「相手は主婦のような女性で、通話の背後からお子さんの泣き声などがしていました。非常に親身に話を聞いてくれたたうえ、『アプリのインストールさえしてくれれば先に2万をすぐ渡す。また落ち着いたときに一緒に登録をしましょうよ』と言われ、マイナンバーカードの写真を送ってしまいました。電話を重ね、マイナンバーカードの写真を送ってから数分で2万円のコード(Amazonギフト)がなぜか送られてきました」
どんなバイト内容か、どんなアプリかもわからないまま、自分の身元を明かしてしまった。
さらに、スマホに入れたアプリでキャッシュカードの情報などの登録を促された。
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「キャッシュカード入力や顔写真など、個人情報にかなり不安を感じるような登録でした。英語や中国語のアプリかサイトであったのと、知識がなく指示通りに仮想通貨などの登録が自力ではできませんでした。そこから音信不通になりました」
それと同時に、女性の周辺では不審な出来事が始まった。
全国各地から中身が空っぽの郵便物が届き、スマホには「ポスターばらまくから覚悟しとけ」と女性を名指しするメッセージが送られたという。
名前、顔写真、連絡先は筒抜け——。身の危険を感じた女性は警察や弁護士からアドバイスを受け、自宅に防犯カメラやインターホンを取り付けた。
女性は愚かだったと振り返る。
「15万円のため、すがりつくように安易に1枚の写真を送ってしまいました。家庭を脅かすことをしてしまったと泣き崩れました。わずかな報酬で深みに落とされ、いずれ刑務所か病院に行き着くこともあるとは思ってもいませんでした。
闇バイトの内容をこなせていないので、罪には問われなかったものの、生涯消えないことをしてしまった気がしてなりません」
そんな女性に対して、警察や弁護士はアドバイスを送って支えてくれただけでなく、「安易な考え」「危険を顧みない行動」と優しく叱ってくれたという。
女性は弁護士ドットコムニュースの取材を通じて、闇バイトに加担しそうになっている人に呼びかけた。
「恥を忍んで正直に書いた文章です。
もし目先や将来不安…どうにもならずに闇バイトに加わろうとしている方。すでに加わっているから今さらもう…と内心思っている方がたくさんいると思うんです。
どうか、家族がいるなら打ち明けて下さい。一人きりでも、警察署の相談ダイヤルは安心して話せる場所です。どうか今すぐ連絡して、闇バイトから離れて明るい道を歩けるようになれるかを親身に寄り添い助けてくれます。
時には罰をうけ反省をする必要も当然あると思います。でも、今ならまだそこで間に合うかもしれません。とにかく警察の相談ダイヤルに連絡してほしいです。そうすれば、今抱えている感情などが必ず晴れます。
安易に高収入を得てしまいたくなったときには、ご家族に話しにくければ…地域のさまざまな相談内容を聞いて手助けしてくれる客観的な公的機関がウェブの広報などに掲載されていますからまずそこへどうか相談して下さい
闇バイトを検索する前に、そちらを検索することがなにより問題の解決に必ず繋がりますから」
過去に闇バイトをして逮捕された人たちも取材に応じた。「後悔している」「逮捕されてホッとした」などと語る。
中国地方の40代男性は闇バイトに応募して、最終的に詐欺などの罪で逮捕・起訴され、有罪判決を受けたと話す。
「最初はスーツを着て飛び込み営業をかけた会社から名刺を回収してくるだけの仕事でしたが、半月もしないうちに、指示役から渡された物をオークションに出品する仕事をさせられました」
「正直、途中で犯罪加担に気づいたので、それからはパトカーに怯えたりとか不安だらけの生活だったので、警察が朝、逮捕状と差し押さえ許可証を持ってきた時は、驚きや不安もありましたが、少しホッとしました」
50代男性(横浜市)も、およそ15年前に闇バイトで逮捕されて、有印私文書偽造などの罪で有罪判決を受けたという。
知り合いに誘われたネットワークビジネスで多額の借金を作ったことから、その返済のため「闇バイト」「闇サイト」というところに行き着いたそうだ。
指示を受け、契約した複数の携帯電話を売っていた。
「私の報酬は1台3千円位でした。どうやら私の契約した飛ばし携帯が犯罪に使われていたようです。捕まってから留置場の中の人に『それはお前も詐欺に遭っているぞ』と言われました。離婚することになりましたし、後悔先に立たずとはこのことでした」
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