シリーズも終盤戦に突入したRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップの第11戦『ゴールドコースト500』が、10月25〜27日に名物市街地のサーファーズ・パラダイスで争われ、オープニングヒートでポール・トゥ・ウインを決め、僚友トーマス・ランドルを引き連れたキャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)だったが、レース後にペナルティを受けワン・ツー・フィニッシュという結果こそ維持されたものの、大量のポイント剥奪と罰金の処分が課されることに。
続くレース2は、タイトルを争う名門トリプルエイト・レースエンジニアリング(T8)のウィル・ブラウンとブロック・フィーニー(レッドブル・アンポル・レーシング/シボレー・カマロZL1)を退けた、今季『レプコ・バサースト1000』覇者の王者ブロディ・コステッキ(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロZL1)が勝利を飾っている。
マウントパノラマでのシリーズ最大の祭典を経て迎えたレースウイークは、すでに所属先のチーム18を今季限りで離脱することを表明していた2015年王者マーク・ウインターボトム(シボレー・カマロZL1)が、来季以降のフルタイムシートを退くアナウンスで始まった。
「今日、僕は21年間ドライバーを務めた後、2025年にはフルタイムでドライブしないことを発表するためにここに来た」と明かしたウインターボトム。
「この言葉を言うのは非現実的だ。本当にさまざまな感情が入り混じっており、まだ腹に火が燃え、目には赤い霧が漂っていると簡単にはいかないね。人生で物事がいつも思いどおりに進むとは限らないが、人生とは前を向くことであり、僕自身はそうするつもりさ」
シリーズチャンピオン獲得経験を持つ43歳は、2013年のバサースト1000も制覇しており、ここまでキャリア通算39勝、120回の表彰台獲得を成し遂げてきた。
「予選のプレッシャーが恋しくなるね。毎周アドレナリンが溢れ、精密で、マシンから1mmも無駄にしない勝負だ」と続けた大ベテラン。
「もうフルタイムでグリッドに立つことはないだろうが、大好きなこのスポーツとそれを取り巻く素晴らしい人々のために、今後も復帰するつもりだ。その詳細はもうすぐ発表できると思うよ」
こうして迎えた土曜の予選トップ10シュートアウトでは、金曜プラクティスの段階で「縁石の良い攻略法を見つけた」と語っていたウォーターズが、マスタングが占拠したトップ3を牽引するポールポジションを手にする。
「ここで速く走るには、すべてを賭けなければならない。壁にブラッシュしたり、水に浸かったり(笑)、クルマの側面の塗装やステッカーを剥がしたりしなければならないんだ」と今季6度目の最速を獲得したウォーターズ。
「シュートアウトは路面状況やグリップレベルがわからないので、かなり難しい。だから、ちょっと行き当たりばったりの面もある。ポールを獲得できてとても興奮しているし、みんなが喜んでくれてるといいね」
■レース2は波乱の幕開け。約半数のマシンがアクシデントに巻き込まれる
そう語ったウォーターズは、レース1で誰にもトップランを譲ることなくランドルを従え快勝。残り10周でフィーニーが3番手に浮上して最後の表彰台をもぎ取ったが、レース後にペンライト・グローブ・レーシングより発せられた抗議を受け、ワン・ツー・フィニッシュを飾ったティックフォード・レーシングはピットストップ違反で罰金とチャンピオンシップポイント剥奪の処分が課されることに。
チームは60点のチームチャンピオンシップポイントを失い、ピットストップ中に両車のホイールを不適切に配置したとして3000豪州ドル(約30万円)の支払いを命じられた。
こうした不穏なムードが漂うなか、明けた日曜はコステッキがポールを射止めてレース2を迎えると、血気盛んなグリッドからオープニングラップで多重クラッシュが発生。
フロントロウ発進のコステッキとブラウンに続き、3番手争いを繰り広げたチャズ・モスタート(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/フォード・マスタング)にジャック・ルブローク(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロZL1)が絡むと、続くターン11では大きなインシデントに発展し、トラックを封鎖するかたちで約半数のマシンが巻き込まれる事態となる。
アントン・デ・パスカーレ(シェルVパワー・レーシング/フォード・マスタング)とライアン・ウッド(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/フォード・マスタング)を起因としたこの事故によりセーフティカー(SC)が発動すると、レースは7周目から再開されることに。
ここで僚友ウッドの燃料リグを混同されたモスタートにはふたたびの災難が降り掛かり、燃料を追加するべく延長ピットインを強いられてトップ10圏内から脱落。その一方、最終ピットでブラウンに3秒の差をつけたコステッキが、最後までそのリードを維持した。
「最高だった。最後の数ラップは彼らがまた押し上げてくれた。エナジードリンクのクルマが僕の尻に迫ってきたからね」と言い放った王者コステッキ。
「チーム全員の功績だ。彼らは今日のため完璧にクルマをセットアップしてくれた。そのことにとても興奮したよ。本当に速いクルマで、最終スティントに向け本当に活き活きとしていた。でも少し迷惑なくらい暑かったから、おそらく今頃クルマごと海に飛び込んでも悪くないくらい(笑)、素晴らしいレースで本当に速いクルマで、戦略も完璧だったね」
これで2位ブラウンとともに、5番手発進から3位表彰台に並んだフィーニーのふたりがドライバーズタイトルを獲得できる条件を整え、いよいよ11月14〜17日にふたたび市街地での最終戦『アデレード500』で決着のときを迎える。