“エシカルな商品”は消費者価値になり得るか? 第2回「食のサステナビリティフォーラム2024」を開催

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2024年10月31日 14:10  OVO [オーヴォ]

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“エシカルな商品”は消費者価値になり得るか? 第2回「食のサステナビリティフォーラム2024」を開催

 CCCMKホールディングス(東京)が取り組む共創型プラットフォーム「Vみんなのエシカルフードラボ」の活動の一環として10月22日、第2回「食のサステナビリティフォーラム2024」が東京都内で開催された。

 「Vみんなのエシカルフードラボ」は、サステナビリティや食の専門家、生産者、加工・流通・小売事業者、飲食店など、食にまつわるさまざまな人々が、生活者である会員(CCCMKホールディングスが展開するポイントプログラム「Vポイント(旧Tポイント)」の会員)たちと対話を重ねながら“持続可能な食”につながるエシカルフードアクションについて考え、行動していく取り組み。

 「食のサステナビリティフォーラム2024」は、Vポイントの購買データや調査結果の分析、各社事例を基に、エシカルな商品が消費者によってどのような価値があるか、またそれを消費者にどのように伝えていくかなどについて、メーカー、流通、テックなど業種・業界の垣根を超えて情報交換する場。今年7月19日に第1回が開催され、全4回を予定している。

 今回の第2回フォーラムは、エシカル・スピリッツ株式会社、株式会社共同通信、相模屋食料株式会社、株式会社セブン&アイ・ホールディングス、株式会社TNC、株式会社ニチレイフーズ、日本電気株式会社、ハウス食品グループ本社株式会社、ハウス食品株式会社、株式会社日立ソリューションズ、株式会社Mizkan Holdings、明治ホールディングス株式会社(五十音順)から計25人が参加した。

 前半では、エシカル・スピリッツ株式会社 代表取締役CEOの小野力氏が、「エシカル商品のマーケティング事例共有」と題して講演。スタートアップ企業の先進事例として注目を集める、未活用素材の酒かすから作られるクラフトジンのマーケティングについて紹介した。


 エシカル・スピリッツは2020年に設立され、アップサイクルベースのクラフトジンをはじめ、主に蒸留酒を製造している。酒かすやカカオハスク(カカオ豆の外皮)など廃棄されることの多い未活用素材の価値を、蒸留というプロセスを通じて商品にしている。その中で、社会的価値の発信と実際の消費者動向に大きなギャップを感じてきたという小野氏。エシカルやサステナブルな要素が購買動機に直結しないことが分かったという。そこで、例えば、原材料である酒かすの豊かな香りや「米ベースのお酒で他のジンよりも食事に合う」などの機能的価値、また「どのようなシーンやどんな気分で飲みたくなるのか?」という情緒的価値を意識した消費者へのアプローチを心がけていることなどを紹介した。

 後半では、明治大学商学部 専任講師・博士の加藤拓巳氏が、「コンセプトに基づく価値づくりの方法論とエシカル消費への適用」と題して講演。マーケティングにおいて消費者価値をもとにしたコンセプトづくりが重要であることや、エシカル商品における消費者価値についての最新の研究結果を共有した。


 加藤氏は、「環境配慮・人権保護などの社会的側面は、消費者個人の価値ではない」とし、消費者の欲求・困りごと解決に対して、エシカル特性がどう寄与するのかを明らかにし、コンセプトを開発する重要性を指摘。具体例として、チョコレートのコンセプトを「劣悪な労働環境を容認せずに生産したカカオを用いたチョコレート」から「優れた環境で職人が手入れしたカカオだからこそ生まれる高品質なチョコレート」とすることで、消費者の購買意欲が高まり、購入可能な価格も高まるという研究結果も報告した。コンセプト策定後の科学的立証や、コンセプトの先の目的を達成する技術開発への意識を高めることの重要性も解説した。

 参加したハウス食品グループ本社 サステナビリティ推進部部長の南俊哉氏は、「エシカル価値は購入動機になりにくく、まず消費者価値ありきと考えていた。しかし、エシカル価値を隠すのではなく、エシカル価値をロイヤルティと結び付け、購入者の困りごと解決につなげる仕組みづくりが突破口になることを学ばせていただいた」などと話した。

 第3回フォーラムは、「今後の消費の中心となるZ世代とエシカルな商品の親和性を紐解く」をテーマに、2025年1月開催を予定している。

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