石川県の能登地方を襲った豪雨では、中小河川の氾濫が相次ぎ、死者も出ました。こうした中小河川の氾濫対策について、進捗に地域差が出ていることがJNNの取材で明らかになりました。
先月、石川県の能登地方を襲った豪雨被害。28の川が氾濫しましたが、そのすべてが、県の管理する「中小河川」でした。輪島市を流れる塚田川もそのひとつ。中学3年の喜三翼音さん(14)が流されて死亡しました。
実はこの地域では、避難場所などを示した「洪水ハザードマップ」の作成を去年から進めていましたが、元日の地震で完成が間に合っていませんでした。
中小河川をめぐっては、2019年10月の東日本台風や、その直後に千葉県などを襲った豪雨で各地の中小河川が氾濫したことから対策が求められてきました。
記者
「千葉県茂原市では5年前に中小河川が氾濫し、こちらで女性が流され死亡しました」
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5年前、千葉県茂原市などを流れる中小河川の一宮川流域では、氾濫によって7人が死亡。一宮川の川沿いにある、およそ300本の桜並木が名所の1つでしたが…氾濫対策の護岸工事のため、ほとんどの桜を伐採したといいます。
千葉県一宮川改修事務所 宇野晃一 所長
「治水工事のために伐採しないといけないのは心苦しいところはあったが、地元の人は安全安心な町にしてもらいたいという思いが強かったのかなと」
さらにこちらは、増水した川の水を一時的に貯める「調節池」です。元々は田んぼがありましたが、所有するおよそ60人から県が買い取って整備しました。
一方、茨城県ではこんな取り組みも…。
茨城県の担当者
「色が付いているところが、水害が起きるかもしれない場所」
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茨城県では5年前の台風被害を受け、洪水リスクのある全ての小学校で、台風を想定した避難計画を考える授業を行っています。
「私の家の周りにはたくさんの高齢者がいるので、高齢者も安全を確保してほしいので、(避難を)呼びかけて一緒に逃げたいです」
対策が進められる一方で、実は地域差も。
中小河川については、2021年からハザードマップ作成の基になる「洪水浸水想定区域」の指定と公表が義務づけられています。各都道府県が来年度末までに「洪水浸水想定区域」の公表などを行うことになっていますが、JNNが各地に取材したところ、すでに完了しているのは東京や千葉など、15の都府県にとどまっているのです。
1年前倒しで進めているのが、この5つの県。残る27の地域は来年度末までの達成を目指しているものの、未だ整備されていません。
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東京大学 池内幸司 名誉教授
「水害が頻発している中で大変だと思うが、前倒しで浸水想定区域の指定等の作業を進めていくことが重要。どういった場所に逃げたらいいのかということをハザードマップの指定がないとしても、普段から考えておくことが重要だと思います」