仕事の効率を高めるために、PCディスプレイの台数やサイズは決定的な役割を果たします。私自身、複数のディスプレイを活用しており、ノートPCは「ZenBook Duo」という2画面搭載モデルを使っています。デスクトップ環境では、ディスプレイを3〜4枚並べて使うことで、圧倒的な作業スペースを確保しています。
そんな中、先日開催されていた「Amazon プライム 感謝祭 2024」をチェックしていたところ、偶然見つけたEHOMEWEIの「XQ-160PW」というデュアルモニターに興味を引かれ、思い切って購入してみました。価格は7万9980円(記事公開時点、クーポン適用価格)と高価ですが、結果としては期待以上の性能でした。
この製品はモバイルディスプレイという位置付けですが、本体の重さは約2085gあり、正直なところ持ち運ぶには重いです。それでも、据え置きの環境で使用するならば、その大きさと機能が存分に生かされるアイテムです。
●サイズ違いとタッチ操作の有無でモデルは4種類
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EHOMEWEIのデュアルスクリーン(Xシリーズ)には、4つのラインアップがあります。16型の2.5K解像度(2560×1600ピクセル)モデルが2種類、15.6型のフルHD解像度(1920×1200ピクセル)モデルが2種類、いずれもタッチ対応と非対応が選べます。画質やサイズにこだわる人はもちろん、タッチ操作を頻繁に使う人にもそれぞれのニーズに応える柔軟なラインアップが魅力です。
私が選んだのは16型のタッチ対応モデル「XQ-160PW」です。どのモデルも重く、一番軽い15.6型(非タッチパネル)でも約1695gです。重さやサイズ感からしても、持ち運びには不向きだと感じたため、あえて最も大きく、かつタッチ対応のモデルを選んだわけです。今回はこのXQ-160PWのレビューをお届けします。
●縦型デュアルディスプレイは省スペースだが広大
XQ-160PWの最大の特徴は、やはりそのデュアルディスプレイとしての利便性です。特にディスプレイを縦に2枚並べて使うというのは、設置場所のスペースが1枚分で済むため省スペースになります。これはZenBook Duoでも感じている利点です。
また、接続も非常にシンプルです。USB Type-C(Thunderbolt 3以上)のポート1本で接続が可能ですし、ディスプレイの電力供給も同時に行えます。ただし、輝度を上げたり、そもそもPCからの給電が不足していたりする場合は、別のUSB Type-Cポートから電源を供給する必要があります。
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さらに16型という大きなサイズ感に加え、16:10というアスペクト比が非常に便利です。ややワイドな16:9のディスプレイに比べ、ブラウジング、文章作成といったPC作業において縦に解像度が長いディスプレイは情報を多く表示できるので、作業が効率化します。
小さな差に思えるかもしれませんが、この16:10のアスペクト比を経験すると、16:9が狭く感じます。
なお、縦置きも可能です。本体に一体化されているスタンドのみで自立するので、こちらも便利です。
ちなみに、使用しない時は折りたためます。画面への傷を気にせずに持ち運ぶこともできますね。
●対面打ち合わせに使えるミラーリング機能
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さて、これだけだと普通にディスプレイを2枚使っているだけですが、このデュアルディスプレイにはもう1つの隠れた強みがあります。それは対面打ち合わせにおけるミラーリング機能です。
ビジネスの場では、対面での打ち合わせにおいて1つの外付けディスプレイを見ながら会話やプレゼンをすることがあります。大人数であればこの形にならざるを得ませんが、1対1といった少人数の場合、ディスプレイを見たりノートPC側を見たりと、使いづらさを感じる方も多いのではないでしょうか。
XQ-160PWはパネルを完全に相手側に向け、自立させることができます。そしてミラーリングモードを使うことで、同じ画面を対面にいる相手に見せながら打ち合わせを進めることができるのです。早速、試しに対面打ち合わせで活用してみたのですが、お互いに対面のまま共有画面も見られるので、スムーズに会話が進みました。地味にストレスが減ります。
●タッチ操作も活用できる
XQ-160PWはタッチペンも使えますが、面白いのがiPhoneなどを接続してもそのままディスプレイ側でタッチ操作ができる点です。USB Type-Cケーブル1本でiPhoneと接続するだけで、16型の大きなタッチディスプレイをできます。
なお、私自身ハマった点ですが、iPhone側で設定に一手間かけないとディスプレイのタッチ操作が反応しません。「設定>アクセシビリティ>ズーム」をオン(iOS18.0.1)にする必要があります。ご注意ください。
また、画面の表示比率がどうもうまく設定できず、iPhone 16 Pro Maxの場合、縦長表示になります。
ちなみに、付属のタッチペンは、本体裏側にマグネットで装着することもできます。このあたり、いろいろと考えられていますね。
ディスプレイ側に内蔵のオンスクリーンキーボード機能があります。US配列のみですが、Windows PCを巨大タブレットのように使うことができます。もちろん日本語入力も可能です。
●普通に2枚のディスプレイとして、別々の利用も可能
単純に2枚のディスプレイとしての利用も可能です。上下それぞれのディスプレイに対して、USB Type-C、Mini HDMI端子があり、別々のディスプレイと認識させて使うことができます。回転させて2人でそれぞれ使う、といった方法もアリではないでしょうか。
他にも「この使い方ができたら面白いかも」と思ったのが、ゲームの協力プレイです。例えば、Nintendo Switchのスプラトゥーン3で協力プレイをする場合、お互いの画面を見ながら協力できるので「よりうまくプレイできるのでは?」という考えです。Minecraftのようなゲームもよいかもしれません。
しかし、この使い方には注意があります。まず、音声出力が下画面のディスプレイからしかありませんでした。確かに、PC利用で上下から違う音を出したい、というシーンはあまりない気がします。
また、iPhoneと同様の事象も確認されました。16:10比率のディスプレイとなるため、Switchを接続したところ、16:9が縦長に引き延ばされてしまいました。この辺りを変更する設定がないようで、ゲーム機側にそうした設定がない場合はおそらく対処しようがありません。こうした点もご留意ください。非常に惜しいです……。
●重さは、しんどい
XQ-160PWの最大の難点は、その重さです。モバイルディスプレイとしての位置付けですが、持ち運びには不向きなほどの重量があります。普段使っているZenBook Duo(約1.65kg)よりもディスプレイ単体の方が重い(約2.08kg)というのは、さすがに厳しいです。分かった上で購入しているので問題があるわけではありませんが……。
非常に使い勝手がよいディスプレイであるため、どうしても外出先でも使いたくなります。対面打ち合わせに持参したい誘惑にもかられます。そこが悩ましいところです。
給電タップやケーブル、そして先日入手した「REALFORCE RC1」を含めても、ノートPCと合わせて5kg以内です。それで合計で4画面の快適なモバイル作業環境が出来上がるのは非常に魅力的です。
●据え置き型ディスプレイとしては最適
重量の観点から、XQ-160PWは持ち運びには向きません。しかし、据え置き型のデュアルディスプレイとしては非常に優れた製品です。特に省スペースでのデスクトップ環境を構築したい人にとって、このディスプレイは非常に価値があると感じました。
なお、2画面表示となるので、使用するPC側にもある程度のスペックは必要になると思います。また、M1チップを搭載したMacの場合、出力枚数に制限があることも多いです。よく確認しましょう。
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