ケビン・エストーレ、ローレンス・ファントールとともにWEC世界耐久選手権のドライバーズ・タイトルを手にしたアンドレ・ロッテラーは、緊迫した最終戦バーレーンの戦いにも関わらず、「余裕があった」と認めている。
彼らの6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)は、11月2日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われた最終第8戦で、今シーズン最悪の11位でフィニッシュしたが、ライバルたちも得点できなかったため、ロッテラー、エストーレ、ファントールは35ポイントの余裕をもってタイトルを獲得した(※のちに51号車フェラーリがペナルティを受けたため、6号車ポルシェの順位は10位へと繰り上がり、2ポイントを手にしている)。
エストーレは予選で6番手となったが、ファントールは決勝のオープニングラップで悲惨な結果に見舞われ、ミゲル・モリーナの50号車フェラーリ499Pと接触して14番手にまでに後退。しかし、レース中盤でエストーレが順位を回復させた。
その後、終盤にセーフティカーが2回投入され、エストーレとロッテラーの努力が台無しとなり、さらにファントールは終盤のアクシデントで2度のペナルティを受け、6号車のクルーは11位でチェッカーを受けた。
しかし、7号車トヨタGR010ハイブリッドがトラブルからリタイアし、50号車フェラーリ499Pもノーポイントで終わったため、ドライバーズタイトルは6号車の3人が獲得することとなった。
「トップ5あたりからスタートしたいと思っていたが、結局、赤いクルマ(フェラーリ)に2度押され、最終的に大きく順位を落としてしまった」とエストーレはレースを振り返った。
「その後、後方にいて、集団はかなり接近していたため、順位を上げることができなかった」
「タイヤを消耗し、ローレンスはトラフィックで苦戦した。最初の2時間は14番手とかなりトップから離されていたが、戦略をうまく決め、僕はクリーンなエアの中でスティントを始めることができた。冷えたタイヤでピットから出てくるクルマを追い抜くことができたが、この段階では多少リスクを冒していた」
「その時は良い車だったので挽回できたが、その後セーフティカーが出動した。最後に接触やペナルティがあり、ポイントを逃すことになった」
「今週末は失うものが多く、他のドライバーは勝つために多くのリスクを冒す可能性があったけど、僕らは失わないようにリスクを管理しなければならなかったので、チャンピオンシップを失うのではないかと考える厳しい瞬間もあった。とても困難だったよ」
「間違いなく今シーズン最悪のレースだったが、何度も表彰台に上がり、2回優勝した今シーズンを誇りに思える」
このレース限りでポルシェ・ペンスキー・モータースポーツを離れることが決定しているなか、自身2度目のWECドライバーズタイトルを獲得したロッテラーは、「このチームに所属し、最高のパフォーマンスを発揮しているこのふたりの素晴らしいドライバーとクルマをシェアできて幸運だ」と語った。
「僕らには、あらゆることに取り組んでいる素晴らしいチームがある。チームに加わった新しいエンジニアたちも、マシンの改善に一役買い、それがシーズン全体に反映されたんだ」
「今日は最高の一日ではなかったけどね。もし7号車(トヨタ)が良い結果を出していたなら、そうは見えない場面もあっただろうけど、僕らには余裕があった。レースで悪い状況がもっと続いていたら、僕らはもう少し緊張していただろう」
「だけどものごとは少し落ち着いたし、僕らは世界チャンピオンになったので、目標を達成して満足して家に帰ることができる」
レースの終盤にロッテラーから交代した後、ファントールはふたつの別々のインシデントで5秒のペナルティを受けた。ひとつはシャルル・ミレッシのアルピーヌA424、もうひとつは弟のドリスが運転するBMW Mハイブリッド V8だった。
ファントールは、「今年、僕はあまりミスをしていないと思うけど、今日はそれを埋め合わせることになったね!」と認めた。
「今日は僕のもっとも誇らしいパフォーマンスではなかったけど、2日後にはみんなが忘れてくれることを願っているよ!」
「今年は素晴らしい年だった。ケビン、アンドレ、エンジニア、メカニックとこのようなチームで仕事をしたのは初めてだった。口論になったり、誰かが怒ったり、そういったことは一度もなかった」
「僕らは常に全体像を見て、常に協力し、常に最善の解決策を見つけ、全員が自分の貢献を果たし、ともに成功したんだ」
「まだ完全に実感は湧かないが、生涯忘れられないシーズンだ」