11月2日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われた2024年WEC世界耐久選手権の最終第8戦『バーレーン8時間レース』では、トヨタGAZOO Racingの8号車GR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)が終盤の逆転で勝利を挙げ、トヨタは6シーズン連続でマニュファクチャラーズ・タイトルを獲得することとなった。
一方で、7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース)は自らが優勝し、6号車ポルシェ963がノーポイントに終われば逆転でのドライバーズ・タイトル獲得が可能な状態で、レース中盤にはそれが実現しそうなポジションも走行したが、メカニカルトラブルが奇跡の大逆転を妨げる一因となってしまった。
■断続的なパワーロスが発生し、深刻化
これは燃料ポンプにまつわるトラブルであり、最初はレースが3時間目に入ったところで、小林可夢偉のドライブ中に発生。スロー走行で数ポジションを失った後に症状が回復すると、可夢偉は力走を見せて順位を回復していったが、ニック・デ・フリースへと交代した後に同様の問題が再発し、さらに深刻化してしまう。
トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパのテクニカルディレクター、デビッド・フルーリーはレース後、問題が深刻になり、7号車をガレージに戻さざるを得なくなったため、チームはそれ以上このトラブルに対処しないことを決定したと説明した。
「燃料ポンプが徐々に機能しなくなっていた」とフルーリーは説明した。
「断続的にパワーロスが発生し始め、それがどんどん長くなり、我々はマシンをストップさせなければならなかった」
「クルマの修理には15〜20分かかるため、修理することで(マニュファクチャラーズ・タイトルを目指しレースを続けている)8号車の努力を邪魔しても意味がなかったので、我々は修復しないことに決めたんだ」
フルーリーはさらに、デ・フリースがリタイア前に別の問題と戦っていたことも明らかにした。
「(燃料)圧力の低下が、『デフォルトモード』のトリガーとなっていたため、ふたつ目の問題が発生した」とフルーリー。
「デフォルトモードは、エンジンを保護するためのものだ。そのため、それが起こるたびにリセットする必要があったのだ」
それが、デ・フリースが頻繁にステアリングのスイッチを操作していた理由だった。