土曜日の午前11時から開始されたF1第21戦サンパウロGPのスプリント。24周で行われる約30分のこのイベントを、角田裕毅とRBはポイント獲得のためのセッションではなく、マシンの走行データを収集するための時間に充てた。それは金曜日のスプリント予選での、謎の失速があったからだ。
スプリント予選で18番手に終わった角田だが、スプリント予選16番手のフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)がマシンに変更を加えたことによりピットレーンスタートとなったため、ひとつポジションを上げて17番手からのスタートとなった。
「スタートはうまくいった」と言う角田だが、その後はペースが上がらない。前を走るのはキック・ザウバーのバルテリ・ボッタス。今シーズンここまで入賞できずにいる低迷中のキック・ザウバーをなかなか抜けない状況が9周目まで続いた。
10周目にようやくボッタスをオーバーテイクして16番手に上がった角田だったが、前を走る15番手アルピーヌのエステバン・オコンとの差は7秒以上に広がっていた。
24周しかないスプリントにおいて、前車と7秒以上の差というのは、ほぼレース終了を意味する。しかし、クリーンエアを得た角田には、やらなければならない仕事が残されていた。それは自らのマシンの走行データをしっかりと取ることだった。
「スプリントレースでも、残念ながらペースが上がらず、ポジションを上げるのに苦労しましたが、スプリントレースの後、走行データをチェックしたところ、いくつか興味深い発見があったので、予選以降に向けてセットアップを改善しました」
本来であれば、土曜日の午後3時から行われる予選で、その変更したセットアップを確認したかったが、予選は雨のために度重なる遅延の後、日曜日に延期された。
テクニカルディレクターのジョディ・エギントンはこう語る。
「ユウキはマシンのハンドリングに関して不満を抱いていたが、スプリント後にいくつかの変更を加えることができた。ただ残念ながら、予選が中止になったことで、それがうまく行くかどうかという疑問は残ったままだ。予選が日曜日の朝になったため、我々にとっては、通常の日曜日よりも忙しい1日になりそうだ。だが、その確認作業を楽しみにしている」
雨で順延となった土曜日の予選。角田とRBのためだけでなく、寒いなか、長時間に渡ってスタンドで開始を待ち続けた観客、そしてモニターの前で待っていた世界中のファンのためにも、日曜日に予選とレースが実施されることを祈っている。