その他の画像はこちら カメラの販売台数構成比は、コンパクトが依然として6割以上を占めている。販売金額構成比こそ、2割台後半から3割台前半と小さいものの、一定の売り上げは続いている。台数はしっかり出ていて、それなりに需要はある、というわけだ。平均単価は、レンズ交換型と同じように上昇している。特に、5万円以上(税抜き、以下同)の比較的高価格帯の構成比が高まっているのが目立つ。21年9月時点では、販売台数全体の6.8%に過ぎなかったが、この9月では33.2%まで上昇。インフレの影響が大きいと思われるが、同時に、少々高くてもいい製品が欲しいというユーザーが増えている、という可能性も高い。この価格帯では、キヤノンの「PowerShot SX740 HS」や「PowerShot G7 X Mark II」の人気が高い。また、7月にパナソニックが発売した高倍率ズームの「LUMIX FZ85D」も売れている。
コンパクトカメラの市場構造はここ数年で大きく変わった。特に目立つのはプレーヤーの変化だ。9月の販売台数シェアの上位5社では、キヤノンがダントツ。PowerShotとIXYの両シリーズを柱に31.1%と大きなシェアを握っている。一方、2位の富士フイルムは、いわずと知れた爆売れの「instax mini Evo」の貢献が大きく13.4%のシェアを獲得。3位、4位のKODAKとケンコー・トキナーは、主要メーカーが撤退した「跡地」に進出した。コスパの良さを武器にシェアを伸ばし、市場を大きく変えた主役だ。そして、一桁シェアで地味ながらもTOP5に食い込んでいるのがGRシリーズを擁するリコーイメージング。フィルム時代から連綿と続くGRブランドは、今でも根強くファンが多い。8月にはショールーム「GR SPACE TOKYO」を表参道にオープンするほどだ。ある種の高級コンパクト需要を一手に引き受けている感すらある。街角で不意に出会った光景を素早く写し取る事に徹した「スナップシューター」を名乗るだけに、孤高の存在といってもいいだろう。限られた製造数しかないとはいえ、GRは抽選販売するほどの人気だ。