「初めて人間を見たこねこちゃん」
空き家の倉庫から子猫3匹を保護したことを、Instagramに報告した「Ryosuke Miyoshi」さん(@ryostory1124)。倉庫で子猫たちを見つけた時に、初めて見る人間に一瞬フリーズする子猫の動画が話題になりました。
「めちゃかわいいお顔」
「こんなにかわいい姿で固まっちゃうなんて この大きな動くのは何にゃ? ど、どうしよって感じ」
「びっくりしすぎてフリーズしちゃったかなぁ〜」
「初めて見た大きな人間がryoさんみたいな優しい人で良かったね」
投稿した「Ryosuke Miyoshi」さんは、保護猫写真家の三吉良典さん。三吉さん自身も猫を保護する活動をされており、10月11日の早朝、近所のボランティアさんから「子猫が鳴いている。保護のお手伝いをできませんか?」と連絡が入ったとか。現場は空き家で自宅から10分ほど、すぐに駆け付けました。近所の人から情報収集をすると「その家には誰も住んでおらず数年に1回は掃除をしに来られる」「最近、子猫3匹を見た」と。そこで、空き家から調査。時間は午前10時頃でお昼寝しているかもしれない、あるいはどこかに親猫と一緒に引っ越してしまったかもしれない…と思いつつ、周辺の様子を見ていたといいます。
|
|
「もし乳飲子で親猫がいなかったら大変だと思い、お母さん猫の鳴き真似をして反応を見ることにしました。『クルル、クルル』と独特の鳴き真似をしたら数秒後すぐに『ミャーミャー』と声が聞こえ子猫が2匹姿を現しました! この時3匹目は見当たりませんでした。月齢は生後1カ月くらい、体もふくよかで目もきれいだし親猫がちゃんと育ててると少し安心しました。そして30分ほど親猫を待つとお母さん猫が現れたんです。証拠動画などを撮りご依頼主さんに報告。子猫たちの健康状態も良かったことから緊急性がないと判断し、いったん現場を離れてご依頼主さんと相談しました」
子猫3匹と母猫を無事保護 フリーズした子猫「動かなければ物だと思われるはず?」
三吉さんは依頼主のボランティアさんと相談した結果、子猫は保護し、親猫は一時保護しておうちの猫ちゃんに適しているか見極めてから人馴れをさせて里親さんを探すか、それが無理ならTNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻すこと)しようということに。そして次の日、空き家の所有者と連絡を取り、現場にも立ち合ってもらいながら保護作戦に乗り出しました。
「空き家は雑草が伸びっぱなしで所有者の方に草刈りをしてもらい僕はゴミをよけながら子猫たちを探しました。数時間後、倉庫の中から声がするのが聞こえ、ゴミを優しく退けていくと子猫たち3匹の姿が見えたんです。初めて人間を見た子猫たちは、シャーと威嚇する子もいれば、『動かなければ物だと思われるはず』とでも思っているかのようにずっとフリーズする子、中には寝ている子もいました。すぐに保護することはできましたが緊急性がないこともあり、いきなりバッと捕まえるのではなく、できる限り怖がらせないように捕獲器や網なども使わずに『大丈夫だよ。怖くないよ』と声をかけ続け、威嚇しなくなったところを軍手だけはめた手で優しく3匹を保護しました」
無事に子猫3匹を保護し、さらに助っ人で駆け付けたボランティアYさんとともに母猫の一時保護も成功。その後、三吉さんが子猫3匹と母猫を動物病院に連れて行きました。診察の結果、母子ともに猫エイズ白血病も陰性、血液や体の状態も良好で、ノミダニの駆除の薬だけをもらったとのこと。そして母猫は避妊手術を受けたそうです。
「次の日、無事に手術が終わり、病院に様子を見に行くと一緒に入院をしていた子猫はすごく元気で、お母さん猫はとても落ち着いていました。お迎えはご依頼主さんに行ってもらいそのまま引き継いでもらおうと思っていましたが、ご依頼主さんはミルクボランティア(子猫のお世話)の経験もなく、よく外出されるということもあり、子猫は僕が引き継ぐことになりました。
|
|
当初はお母さん猫と子猫をしばらくは一緒にしてほしいという思いがありましたが、ご依頼主さんと動物病院で話された結果、『いずれ親離れもさせないといけない、このタイミングで親子を分けよう』とお母さん猫はご依頼主さん、子猫3匹は僕へと託されたのです。3匹の子猫たちは離乳食に変えたばかりで、すぐには身体に合わないこともあり下痢が続いた子もいましたが、お薬とその子に合ったご飯でずいぶんと良くなり、スクスク成長しております」
子猫3匹は三吉さんのところに、母猫は依頼主のボランティアさんの元へ。ボランティアさんも母猫を「おうちの子にしてあげたい」と里親さんを探していく方向で動いているとのことです。
◇ ◇
お外で暮らす猫の出産や子育ては、人気のない場所を選ぶ
今回保護された子猫3匹と母猫が、どうして空き家の倉庫に住み着いていたのでしょうか? 三吉さんに聞きました。
「お外で暮らす猫ちゃんの出産や子育ては基本的には人間や外敵が侵入しにくい場所を選んでいます。今回も空き家で草木がぼうぼうのゴミが散乱している小屋から保護しました。これはよくあることで仕方ないのですが、子猫が衰弱していたりと、1秒でも早く助けてあげないといけない状況もあり、空き家の所有者の人を探してから許可をもらうまでにどうしても時間がかかり子猫を助けてあげられない時がたくさんあります。虐待のように庭で鎖につながれて何日もご飯をもらえてないガリガリのワンちゃんなどもそうですが、緊急の場合は私有地に立ち入ってもいいという法律を早く作ってほしいと強く感じました。
|
|
正直に話すと、こんな場合は子猫を先に助けて、その後に私有地の方を見つけ、勝手に入ったことを謝ります。子猫を助けたことや親猫を避妊手術することを話すと、ほとんどの方が『ありがとう』と言葉をかけてくださいます。だけどダメなものはダメ。そんな罪悪感ある保護活動なんてしたくないので、もっと動物に優しい国になってほしいです」
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)