今回は、高齢期を迎えている人々が血縁関係のない人と住む住居についてどう思っているのかを確認して、実際の暮らし方について特徴をまとめます。
血縁関係のない人が住む住居を高齢者はどう思っているのか?
内閣府による「令和5年高齢社会対策総合調査(高齢者の住宅と生活環境に関する調査)」の中に「血縁関係のない人が住む住居をどう思うか?」という質問があり、結果は次のとおりです。全体では「居住したことなく、今後も居住する予定はない」が最も高く「59.5%」を占めており、血縁関係のない人との共同生活に対して慎重な姿勢が見られます。
次いで、「興味があり、今後考えたい」が「17.3%」、「現在、居住しており、今後も住み続けたい」が「10.0%」と続きます。
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血縁関係者がいない一人暮らしの人にとっては、老後の社会的孤立を避けるために助け合いができるコミュニティー型の住まいに興味・関心を持っています。また、多くの人と暮らす共同生活であればコストが割安に抑えられるという点に魅力を感じるのでしょう。
血縁関係のない人と住む住居はどんなものがある?
高齢者が血縁関係のない人と住む場合、どんなものがあるでしょうか。ここでは「高齢者向けシェアハウス」「コレクティブハウス」「老人ホーム」の3つについて紹介します。高齢者向けシェアハウスの特徴
シェアハウスは、一軒家やマンションに血縁関係のない人同士が一緒に暮らすスタイルです。暮らし方としては、一軒家やマンションの各部屋が入居者のプライベートスペースとして確保され、トイレや台所、お風呂などは他人と共有するというものです。また、シェアハウスは、たとえば「35歳まで」「単身者のみ」などの制限があります。最近では、入居者を高齢者限定にした「高齢者向けシェアハウス」が作られています。高齢者向けシェアハウスには、階段に手すりが付いていたり、段差がなくバリアフリーになっていたりなど、高齢者に暮らしやすい機能が備わっています。高齢者向けシェアハウスは「高齢者向け」ですが介護スタッフの常駐はありません。基本は自立型の元気な方しか入居できません。
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・月額費用:6万〜10万円
別途、水道光熱費等の支払いが必要となる場合もあります。中にはペット可能施設もあります。もし、飼い犬・猫などと一緒に入居する際は別途負担する費用がかかります。
コレクティブハウスの特徴
コレクティブハウスとは、一軒家や同じ建物に複数の住人や世帯が共同生活を送る住まい方です。シェアハウスとよく似た暮らしを思い浮かべますが、キッチンやお風呂などが個室にも備わっているため、無理にスペースを共有しなくても暮らせます。もともと、スウェーデンなど北欧で始まり、日本でも増加しています。入居者は0〜70、80歳までというように幅広い年齢層が共同で暮らします。一人で入居する場合もあれば、世帯で入居する場合もあります。コレクティブハウスの大きな特徴は、各住人は必ずハウス内の何かの役割を担当し、負担を分かち合うことです。
高齢者でも、自立していることが前提となり、他人との暮らしを楽しめる方が向いています。
・入居費用:10〜40万円
・月額費用:5万〜11万円
別途、水道光熱費等の支払いが必要となる場合もあります。こちらもペット可能施設があります。もし、飼い犬・猫などと一緒に入居する際は別途負担する費用がかかります。
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高齢者が入居する老人ホームの特徴
高齢者が入所する施設には一般的に「老人ホーム」があります。「老人ホーム」とひと括りに言っても、たくさんの種類がありますが、民間施設であれば「住宅型老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」「介護付き有料老人ホーム」があります。自立の方から要介護の方まで幅広く暮らすことができます。【住宅型有料老人ホーム】
・入居費用:数百万〜数千万円
・月額費用:10万〜40万円
【サービス付き高齢者向け住宅】
・入居費用:数十万円
・月額費用:10万〜20万円
まとめ
高齢者が血縁関係のない人と住む選択肢として、「高齢者向けシェアハウス」「コレクティブハウス」「老人ホーム」があります。シェアハウスは他人と共有しながら自立した生活を送り、コレクティブハウスでは役割を分担して共同生活を楽しめます。老人ホームは自立から要介護まで幅広く対応可能です。これらの選択肢を参考にし、自分らしい生き方を見つけ、より豊かな暮らしを実現しましょう。文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))