「大川原化工機」をめぐるえん罪事件で、元顧問の男性が勾留中に見つかったがんで死亡したのは拘置所の不適切な対応が原因として、遺族が国に賠償を求めた裁判で、東京高裁は遺族側の訴えを退けました。
横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の元顧問・相嶋静夫さんは2020年、不正輸出の疑いで社長らとともに逮捕・起訴されましたが、その後、起訴が取り消されています。
相嶋さんは勾留中に見つかったがんで亡くなっていて、遺族が相嶋さんが亡くなったのは拘置所の不適切な対応が原因だとして、国に賠償を求める訴えを起こしています。
1審の東京地裁は「拘置所に違法な行為があったとは言えない」などとして、遺族側の訴えを退けていて、その後、遺族側が控訴しました。
控訴審では、遺族側は改めて「適切な治療を受ける権利が著しく害された」と訴えましたが、きょうの判決で東京高裁は、拘置所の医師の対応について「違反があったとは認められない」として、遺族側の訴えを退けました。
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判決後、報道陣の取材に応じた相嶋さんの長男は「率直に残念でした。拘置所に入ると健康が犠牲になるということだ」と話しました。
また、代理人弁護士も、「相嶋さんがベストな治療を受けられなかったのは事実だと思う」「医師の義務違反が認められず、非常に残念だ。こういう現実を前提に、人質司法の問題を追求していかないといけない」としています。
最高裁に上告するか問われると、「判決文を読み込んで考えていきたい」と述べました。