クルマのクイズ 第37回 軽自動車なのにガルウイング? 意外にもマツダ車! このクルマの正体は?

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2024年11月07日 08:21  マイナビニュース

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● ガルウイングドアを備えているのはスーパーカーか、あるいはテスラの「モデルX」くらいかと思いがちですが、実は日本の軽自動車にもあったんです。しかも作ったのはマツダでした。さて、そのクルマの名前とは?


ヒント:コンセプトは“エキサイティングなマイクロクーペ”



1990年代に誕生したクルマです。



――正解は次のページで!● ○問題をおさらい!


正解はこちら!


○【答え】マツダ「オートザムAZ-1」


オートザムAZ-1は1992年10月に登場したマツダの軽自動車です。


マツダは1976年に「シャンテ」の生産を中止して以来、長らく軽自動車をラインアップしていませんでした。しかし、1980年代に入ると、女性ドライバーの増加などにより軽自動車の需要は拡大していきます。



そこでマツダは、新しい価値「Enjoy Car Life」を提案し、軽自動車を含む独自の新規需要を創出することを目的として、コンセプトの立案をスタートさせました。



そこから生まれた軽自動車は2台あります。1台は過去にあった軽自動車の名前を復活させた「キャロル」というクルマで、20〜22歳の独身女性をターゲットに曲面を多用した親しみやすいデザインを採用していました。そして、もう1台がAZ-1だったのです。



「独自の新規需要を創出する」ことを目的とした「オフライン55プロジェクト」の立ち上げは1983年10月。正式承認を得る前に試験的に商品企画を進めるという当時としては画期的なプロジェクトで、何よりも自由な発想が求められました。同プロジェクトから生まれたのが初代「ロードスター」や初代「MPV」、前述のキャロル、AZ-1といったクルマたちでした。


AZ-1はマツダがイギリスのエンジニアリング会社と共同で開発したクルマです。車体はスケルトンモノコックフレームにプラスチック製の外板パネルをボルト止めするという個性的な構造でした。


全高が1,150mmと非常に低いAZ-1。ガルウイングドアは大きな乗降スペースを必要としないため、低い車体にちょうどよく、狭い道や交通量の多い都市環境にも適していました。もちろん、乗降時に個性を表現できるところも魅力です。軽自動車でガルウイングを採用したのはAZ-1が初めてでした。


エンジンはリアミッドシップに搭載された3気筒インタークーラー付きターボ。性能は最高出力64PS/6,500rpm、最大トルク8.7kg.m/4,000rpmですから、Nm(ニュートンメーター、トルクの単位)ではおよそ85.3Nmを発生していました。これを5速マニュアルで走らせていたのです。



エンジン、トランスミッション、サスペンション、ブレーキ周りなどはスズキから提供を受けました。ちなみにエンジンは、スズキ「アルトワークス」のものを流用しています。スズキはAZ-1のOEM供給を受け、「キャラ」(CARA)という名前で販売していました。


AZ-1の生産は1994年10月に終了します。デビューがちょうどバブル崩壊の真っ最中だったこともあり、生産台数は計4,500台ほどだったと伝えられています。149.8万円(税抜き)という価格は、当時のキャロルが120万円を切っていたことを考えると割高感があったのかもしれません。ちなみに、スズキのキャラも500台ほどで生産終了となりました。



まさにバブル絶頂期に企画が生まれ、さまざまなチャレンジを経て商品化にこぎつけたAZ-1。クルマ作りの世界で社外との協業という手法は今や当たり前となりましたが、マツダにとって、その手法を確立するための大きな1歩となったことは間違いないでしょう。



それでは、次回をお楽しみに!



内田俊一 うちだしゅんいち 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験をいかしてデザイン、マーケティングなどの視点を含めた新車記事を執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員。 この著者の記事一覧はこちら(内田俊一)

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