暖房器具はもう出しましたか? 月々の電気代が気になる季節になってきましたね。電気料金が年々上がっていることから、家計への影響を心配している人は多いでしょう。特に暖房器具は電力消費が大きい家電であるため、選び方、使い方で電気代が大きく変わることもあります。
そこでこの記事では、FPがメジャーな暖房器具の電気代を比較してみました。暖房器具の特徴とかかる電気代を知っておくと、この冬の暖房の仕方が変わって電気代の節約につながるでしょう。さらに、電気代を節約できる暖房器具の使い方やちょっとしたコツなども紹介します。
●主な暖房器具の電気代はどれくらい?
暖房器具にはさまざまな種類がありますが、一般的によく使われている次の6つの暖房器具の電気代を比較してみます。
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・エアコン
・セラミックファンヒーター
・電気ストーブ
・オイルヒーター
・こたつ
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・ホットカーペット
暖房器具には、暖め方や暖まるまでの時間、適した場所など、それぞれ特徴があります。そちらも合わせてみていきましょう(1時間当たりの電気代は、全国家庭電気製品公正取引協議会「電力料金目安単価」の1kWh当たり31円(税込)を用いて計算しています)。
エアコン
・特徴
エアコンは部屋全体を暖めるのに適しています。消費電力は一定ではなく、稼働時に最も電力を消費します。部屋全体が暖まるまでは多少時間がかかりますが、暖まった後は消費電力を抑えられます。そのため、つけっぱなしにした方が電気代を節約できるケースがあります。
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・電気代
消費電力は690W(105〜1980W)、1時間当たりの電気代は21.4円(3.3〜61.4円)になります。
セラミックファンヒーター
・特徴
熱源から発生した熱気をファンによって送り出す暖房器具です。すぐに暖かい空気を出すことができますが、暖められる範囲は狭くなります。軽量でコンパクトな製品も多いため、設置場所を選ばず、持ち運ぶことも可能です。
・電気代
消費電力は強1170W、弱640W、1時間当たりの電気代は、強で使った場合は36.3円、弱で使った場合は19.8円になります。
電気ストーブ
・特徴
電気で熱を発生させて、主に器具の前面を反射熱で暖める暖房器具です。熱源の種類によって、ハロゲンヒーターやカーボンヒーターなどがあります。部屋全体を暖めるのは不向きですが、部屋の一部をすぐに暖めたいときに便利です。
・電気代
消費電力は強800W、弱400W、1時間当たりの電気代は、強で使った場合は24.8円、弱で使った場合は12.4円になります。
オイルヒーター
・特徴
フィンと呼ばれるオイルが入った放熱板を温めることで、周りの空気を暖める仕組みの暖房器具です。部屋全体を暖めるには時間がかかりますが、温度のムラができにくく、風を出さないため部屋が乾燥しない点がメリットです。
・電気代
消費電力は1200W(3段階1200/700/500W)、1時間当たりの電気代は、1200Wで使った場合37.2円になります。
こたつ
・特徴
布団をかけたテーブル下の発熱体によって、下半身を暖める日本の暖房器具です。部屋全体を暖めるものではないため、エアコンなどと組み合わせて使うことで、エアコンの設定温度を下げることができます。
・電気代
消費電力は500W、1時間当たりの電気代は15.5円になります。
ホットカーペット
・特徴
カーペットに織り込まれた電熱線によって、床面を暖める暖房器具です。足元を暖めることで、体感温度を上げることができます。部屋全体を暖かくできるものではないので、他の暖房器具と併用するとよいでしょう。
・電気代
1時間の標準電気料金(室温15度)は、高で約14.1円、中で約9.9円となっています。
●一番電気代がかかる暖房器具は?
6つの暖房器具の1時間当たりの電気代が分かったので、ランキングにまとめてみました(表参照)。
暖房器具の温度設定や強弱によって消費電力は変わってきますので、使い方によってはこのランキングとは違う結果になると思いますが、大まかな傾向はつかめるでしょう。エアコンは、比較的電気代がかからない暖房器具であることが分かります。
それぞれの暖房器具には得意・不得意があります。部屋全体を暖めるのは不向きでも、ピンポイントですぐに暖められるものは、一時的な使用や、洗面所などの狭い場所に置くのに適しています。
エアコンは部屋が暖まるまで時間がかかりますが、リビングなど広めな部屋の長時間の利用に適しています。
このように、その暖房器具が得意とする場所で使う「適材適所」を心がけることが節約につながります。
●エアコン(暖房)の節約ポイント
資源エネルギー庁の「省エネポータルサイト」に、外気温度6度の時、エアコンの暖房設定温度を21〜20度にすると、年間で約1650円の電気代が節約できるという試算があります(出典:資源エネルギー庁)。1度程度でも温度設定を低くできれば節約できるということです。
設定温度をなるべく低くして使うには、暖房器具を組み合わせるとよいでしょう。エアコンなどの部屋全体を暖めるものは、足元が寒くなりがちなので、エアコンとこたつ、エアコンとホットカーペットという使い方が有効です。組み合わせることで、エアコンの温度設定を低くでき、ある程度部屋が暖まったらエアコンを切ることができるでしょう。
●暖房費節約の5つのコツ
最後に、暖房費を節約するためのコツを紹介します。上手に暖房を使って、光熱費を節約しましょう。
フィルターをこまめに掃除する
先述の資源エネルギー庁のサイトで、フィルターが目詰りしているエアコンと、フィルターを清掃した場合の電気代を比較しています。フィルターを掃除すると年間で31.95kWhの省エネとなり、約990円電気代を節約できます。月に1、2回フィルターの掃除をするとよいでしょう。
エアコンは床から暖める
冷たい空気は部屋の下の方にたまりやすく、温かい空気は天井付近にたまりやすいという性質があるため、部屋全体を暖めるには「風向きの設定を下」にするとよいでしょう。下に向かって出た暖かい空気は自然と上に上がっていくので、結果部屋全体を暖めることができます。
サーキュレーターを使う
エアコンの風向きを下にしても、室内の温度ムラが出てくる場合があります。その場合は、サーキュレーターで空気を循環させるとよいでしょう。暖房の場合は、エアコンの対角線上にサーキュレーターを置き、上向きに風を送ると、天井付近にたまった暖かい空気が循環して温度ムラをなくすことができます。
なお、サーキュレーターの消費電力(28W)は、1時間当たり約0.87円とわずかです。
外気温が3度より低い場合はつけっぱなしにする
エアコンの電気代は、外気温が3度よりも低い場合は、つけっぱなし運転がお得で、3度以上の場合は、こまめに消す運転がお得であるとのシミュレーション結果(※)があります。
エアコンは、運転開始が一番電力を消費するため、「つけっぱなしがいい」という認識はだいぶ広まってきています。しかしこれは外気温が低い場合の話であり、東京の場合は、ここ数年冬場の平均気温が3度を下回ることはないので、こまめに消す運転の方がお得なケースが多いといえるでしょう。
厚手のカーテンに変える
暖気は窓から逃げていくため、カーテンを閉めて保温しましょう。その際、床まで届くタイプのカーテンや厚手のカーテンに変えると保温効果が高まります。カーテン以外にも、窓に断熱シートやプチプチ(気泡緩衝材)を貼れば、暖房効果を上げることができます。