お酒のメーカーが「ほどほど」を呼びかけ――。サントリーは11月6日、東京都内で「適正飲酒の大切さとお酒の魅力を伝える新たな取り組み」についての説明会を開き、適量の飲酒を啓発する活動「ドリンク スマイル」を始めると発表した。
ビールやウイスキー、ワイン、ジンといった各種アルコール類を販売するサントリーは、1986年から「ほどほどの飲酒」を啓発する活動をしてきたという。2011年からは社外でセミナーを実施しているが、新たな取り組みとして「ドリンク スマイル」活動を展開する。
▽飲み方の多様化
登壇したサントリーの鳥井信宏社長は、高度経済成長期のウイスキーを中心にしたボトルキープからバブル景気やリーマン・ショックの中、焼酎ブームやハイボール文化など「お酒の飲み方の変化」を説明。「コロナ禍での家飲みを経て、アフターコロナは自分好みの飲み方になるなど多様化している」と話した。鳥井社長は「幅広い酒類ラインアップがサントリーの強み。ノンアルコールを含め、これからも酒文化の創造を通じて人々の心を豊かにしたい」と強調した。
新たな活動「ドリンク スマイル」は、「お酒について知る」「お酒の良さを体験する」という二つのプログラムでセミナーを開催し、適正飲酒の大切さを呼びかけるとともに、お酒の魅力についても併せてアピールする内容。これまでにも企業や自治体向けにセミナーを実施し、延べ3万6000人に啓発してきたというが、「ドリンク スマイル」では、ビールの「神泡体験」やウイスキーの山崎蒸溜所バーチャル見学といった体験メニューを加えた。新たに実施するセミナーでは、25年から年間3万人を目標に開催する計画だ。
▽喉元アップを禁止
サントリーホールディングスで「酒類企業としての社会的責任の実践」を担当している宮森洋グローバルARS部長は、従業員への適正飲酒教育の勉強会など、さまざまな取り組みを説明。消費者向けには、ビール類など缶の容器に「お酒」と注意表示を明記したり、純アルコール量を表示したりする啓発活動を紹介した。また、テレビCMなどの映像で喉元をアップすることは「必要以上の飲酒につながるので使用しない」という業界の自主基準に従っているという。
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最後に鳥井社長は「飲むことは“悪”ではなく、コミュニケーションを良くするため、ほどほどに楽しく飲むことを提案してきたい」と活動の意義を話した。