■楳図かずおは漫画を超えた存在
日本を代表する漫画家の一人であり、ホラー、SF、ギャグ漫画まで多彩な作風で知られた漫画家の楳図かずおが10月28日に亡くなっていたことがわかった。88歳だった。楳図は『へび少女』『漂流教室』『まことちゃん』など数々のヒット作を生み出し、一時は作品の発表が途絶えたこともあったが、2022年には101点に及ぶ連作絵画を発表し、話題となった。
(参考:【写真】『闇のアルバム/楳図かずお作品集』作者・楳図かずお)
楳図かずおはテレビ番組にも多数出演し、歌手としても活動、マルチタレントとしての一面も見せた。そして忘れてはいけないのが吉祥寺との深い関係である。そう、楳図かずおは吉祥寺の“ローカルタレント”的な一面を持っていた漫画家であった。吉祥寺に住んでいる人であれば“一度は見かけたことがある”著名人だったためである。
記者の知人の編集者もかつて吉祥寺に住んでいたが、「スーパーで買い物している楳図先生にお会いしたことがあります」「イメージそのままで、話しかけたら気さくに応じてくれた」と話す。実際、ごく普通に、吉祥寺駅周辺で買い物をしている楳図を見かけることは多かったそうである。ちなみに、吉祥寺駅前にある吉祥寺サンロード商店街も楳図かずおとコラボを行ったことがある。
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トレードマークになっている赤と白のボーダーのシャツは、海賊の着ている服のイメージとのこと。吉祥寺のニュースメディア「週刊きちじょうじ」によると、吉祥寺にあるディスカウントショップ「ロヂャース」で買い求めたものだそうである。普段、外出する時もこのシャツを愛用していたそうで、「遠くからでも目立ちまくる」存在だったようだ。
■景観論争が起きたことも
吉祥寺に建てた家、通称“まことちゃんハウス”はその派手な外観から、一部の住民から景観論争が巻き起こったことがあった。記者は実際に見学に行ったことがあるが、家自体は街並みになじんでいて、かわいらしい家だった。もっとも、楳図自身、晩年はこの家を訪れることはほとんどなくなったといい、寂しい状態になっていたようであるが。
吉祥寺は漫画家が多く住む町として有名である。おしゃれな街として発展しつつあるが、街の所々にサブカルチャーの香りが今も感じられる。そんな吉祥寺を作り出している象徴的な一人が、楳図かずおだったことは間違いない。前出の編集者は「吉祥寺で楳図先生にお会いした経験がある住人は多いはず。ある意味、“会いに行ける漫画家”のような存在でした」と語った。現在、ネット上にも追悼のコメントが相次いでいる。
文=元城健
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