南アフリカ訪問の最終日、カークベイを訪問したウィリアム皇太子。地元の群衆から温かな歓迎を受けた(『The Prince and Princess of Wales Instagram「Witnessing the @earthshotprize in action」』より) 南アフリカ共和国を訪問中のウィリアム皇太子が、最終日に現地の人々から抗議を受ける場面があった。皇太子はケープタウン近郊にある港町に到着すると、プラカードを掲げた抗議グループから「帰れ!」などと声を上げられた。南アフリカはかつて英国の植民地で、現在は英連邦王国の一つだ。この日、皇太子は昨年の「アースショット賞」ファイナリストに選ばれた非営利団体の活動について説明を受けたが、地元漁師の仕事を視察しなかった。そのため、漁師の一人は「私たちを排除している」と怒りを示した。
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ウィリアム皇太子は、4日(以下、日付はすべて現地時間)に南アフリカ共和国の首都ケープタウンに到着し、4日間にわたる単独訪問を開始した。
南アフリカは英連邦王国の一つで、英国の君主を国家元首としている。現在はチャールズ国王が元首だが、将来はウィリアム皇太子がその地位を引き継ぐことになる。
今回の訪問の主な目的は、皇太子が2020年に設立した環境問題解決プロジェクト「アースショット」による毎年恒例の授賞式に出席することだ。
皇太子は4日と5日に「アースショット賞」に関するイベントに参加し、6日夜には授賞式に出席した。
南アフリカ訪問最終日を迎えた7日午前には、ケープタウン郊外にある港町サイモンズタウンで海難救助隊員と合流し、ボートに乗って港町カークベイへ移動した。
この日の訪問は、2023年の「アースショット賞」のファイナリストに選ばれた南アフリカの非営利団体「ABALOBI」の活動を視察するためだ。同団体は小規模漁業コミュニティの保護や海洋スチュワードシップの育成に取り組んでいる。
ウィリアム皇太子らがカークベイの港に到着すると、多くの群衆が南アフリカの国旗を振るなどして温かく歓迎した。皇太子は地元の人々と握手をして「最高に素晴らしい数日間だった。本当に帰りたくない」と話し、交流を楽しんだ。
すると、抗議デモに参加したグループが突然声を上げ始め、場の空気が一変した。
抗議者は「ウィリアム、あなたに我が国での主権はない」と書かれたプラカードを掲げ、「国に帰れ!」「歓迎されていないんだ!」「あなたの祖母が我々から盗んだものを返してくれ!」と叫ぶなどした。
この時、王室を支持する群衆が、抗議の声をかき消すように「ウィラブユー、ウィリアム!」と支持の声が広がった。
ウィリアム皇太子はそのような状況にも動じることなく、前夜の「アースショット賞」授賞式に出席したモデルのハイディ・クルムやウィニー・ハーロウ、米俳優兼歌手のビリー・ポーターらと持続可能な漁業について学んだり、伝統的なフィッシュ・ブライ(魚のバーベキュー)のランチを楽しんだ。
しかし地元の漁師たちは、皇太子が「ABALOBI」のスタッフとだけ対面し、自分たちの仕事を視察しなかったことに不快感を示した。
地元の漁師ドウェイン・バウルスさんは、英メディア『Hello!』に対し、ウィリアム皇太子をはじめとする王族をこのように批判した。
「彼らはここを拠点としていないし、私たちの魚を買うこともない。晴れている時にしか来ないんだ。私たちは雨の日も嵐の日もここで漁をしている。」
そして「彼らは私たちを排除している。ウィリアムはここの魚を見に来てくれなかった。彼が来るなんて誰も教えてくれなかったよ。ABALOBIは私たちをサポートしていない。ここは私たちの港なのに」と主張し、次のように続けた。
「彼(ウィリアム)に腹を立てているわけじゃない。もっとここに来てほしいだけだ。このような“ヤラセ”じゃなくてね。」
また、小規模漁業会社「Rifiek Isaac」の副会長は、「ABALOBI」が地元の漁師代表ではないにもかかわらず皇太子と対面したことに怒りを示した。
「我々は皇太子に会いたかった。彼に怒っているのではありません。ABALOBIが私たちの港を使っていることに不満を感じているだけです。我々はここで漁をしているのです。」
画像は『The Prince and Princess of Wales Instagram「Witnessing the @earthshotprize in action」「National Sea Rescue Institute volunteers are on call 24/7,」「So great to see so many brilliant people coming together tonight」』より
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)