梅雨時期のある日、行き場のない犬猫を保護し、新しい飼い主へと繋げる静岡県の保護団体・アニマルフォスターペアレンツに、同じく犬猫の保護に尽力するボランティア仲間から、ある相談が持ちかけられました。
「ある秋田犬の飼い主が高齢になり入院。行き場を失う格好になった秋田犬を引き取ってもらえないか?」というものでした。
「ワンオーナードッグ」の秋田犬に少しの不安が…
相談を受けた団体メンバーは少し悩みました。なぜなら秋田犬は、数ある和犬の中でも特に飼い主だけに忠実で、それ以外の人間にはあまり懐かない傾向があるからです。
「ワンオーナードッグ」とも呼ばれるほどの秋田犬に団体メンバーは少しの不安がありましたが、しかし、ここで引き受けなければ、そのワンコはさらに途方に暮れることになります。悩んだ末に、その秋田犬を保護することに決めました。
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まるで散歩から帰ってきたかのように
やってきた秋田犬は当初の団体メンバーの心配をよそに、尻尾を振りながら笑顔で挨拶。その様子は、まるで散歩から我が家に帰ってきたかのようで、実にリラックス。少々拍子抜けするほどでしたが、この通り、当初の不安は全くの杞憂で終わりました。
そして、団体メンバーはこの秋田犬に「大ちゃん」という名前をつけてあげました。その名前には理由がありました。団体ではかつてオスの秋田犬を保護したことがありました。保護時、その秋田犬は生後3カ月ほどの子犬でしたが、その大物っぷりに「大ちゃん」という名前をつけました。
先代の大ちゃんもまた穏やかで人に対して攻撃性がなく、とても良い子。そして、保護からしばらくして、幸せな第二の犬生をつかんでくれたこともあり、この先代にならい同じ名前をつけてあげたというわけです。
「新しい里親さんの元で僕は幸せいっぱいだよ」
大ちゃんはこの愛想の良さから、程なくして団体主催の譲渡会に参加。マルチーズやチワワなどの小型犬に混じって、体の大きな大ちゃんもニコニコ笑顔で参加しました。
一際目立つ大ちゃんの笑顔を前に、来場者の多くが「かわいいねー」と褒めてくれました。そして、初めての譲渡会の参加にして「迎え入れたい」という里親希望の声がかかりました。
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大ちゃんはこの里親希望者さんの前でも、「僕の新しい家族さんですか?」ニコニコ笑顔。一定期間のトライアルを経て正式にこの方の家に迎えられることになりました。
譲渡から1カ月後、優しい里親さんは団体の元に、大ちゃんを連れて遊びに来てくれました。大ちゃんは保護時よりも、さらに柔らかい表情を浮かべ、1カ月ぶりに会う団体メンバーに尻尾を振って挨拶しました。
その様子は「保護してくれてありがとうね。新しい里親さんの元で可愛がってもらえて僕は幸せいっぱいだよ」と言っているようにも映りました。
スピード譲渡となった大ちゃん、本当に良かったね! これからもずっと優しい里親さんの元で笑顔で過ごしてほしいですね。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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