2015年の年末に誕生した格闘技『RIZIN』が、記念すべき10回目の大みそか大会となる今年は3部制のビッグイベント『RIZIN DECADE』を開催することを発表。そのフィナーレとなる第3部の『Yogibo Presents RIZIN.49』のメインイベントで、王者・鈴木千裕vs.挑戦者・クレベル・コイケのフェザー級タイトルマッチが行われることが決定した。
【インタビュー&会見写真】大みそかにクレベル・コイケと対戦する鈴木千裕 RIZIN榊原信行CEOが「10回目の節目に必要なカード」と大きな期待を込めてマッチメイクしたこの一戦。昨年6月にも両者はタイトルマッチで対戦しているが、当時の王者だったクレベルが前日計量で失敗して王座を剥奪され、試合はクレベルが1ラウンドで鈴木の腕を極めて一本勝ちするも、体重超過により結果はノーコンテストとなった。
今回は王者・鈴木vs.挑戦者・クレベルとして行われる、真の決着戦。ORICON NEWSではタイトルマッチで対戦する両者にインタビューを実施。前編は王者の鈴木千裕。前回の試合を「自分の中では負けを認めている」と断言するなか、リベンジを果たし王者として10周年のRIZINの主役となるか。
■「毎月試合をやりたいけど、なかなか組んでもらえない。それも王者の使命」
――RIZINにとって記念すべき10回目の大みそか大会、しかもそのメインを務めることが決定しましたが、改めてその心境を教えてください。
【鈴木】本当に光栄です。数年前には想像できなかったことですが、今は王者として、RIZINを代表する存在として戦う覚悟を持っているので、しっかり勝って大会を締めくくりたいと思っています。
――去年11月にアゼルバイジャンでヴガール・ケラモフに勝利してベルトを獲得してからちょうど1年となりますが、王者としての1年間はいかがでしたか?
【鈴木】怒涛の1年でしたね。「ベルトを守り続けなければいけない」ってずっと思っていましたし、「絶対王者になる」と去年に誓ったので、そのためには勝ち続けなくちゃいけないですから。王者として2周年も迎えますよ。
――イベントや取材でいつもベルトを持参されていますが、荷物が多くなって大変では?
【鈴木】重いですけど、それもぜいたくな悩みです(笑)。KNOCK OUTのベルトも持っていくときは2本になりますが、それも王者の責任として感じています。
――今年はMMAでは4月の金原正徳戦のみ、立ち技でも6月の五味隆典戦のみと、ここ数年はハイペースだった千裕選手にとっては試合数の少ない1年となりました。
【鈴木】チャンピオンになると、試合ができなくなるんですよ。僕は毎月ペースで試合をやりたいのですが、なかなか試合を組んでもらえなくて、それも王者の使命なのかなと。実際にチャンピオンが毎月試合をやるとなったら、ふさわしい相手がいないですよ。だからそれは仕方ないと受け止めて、練習をやっています。
――五味戦で負傷した右手の治療中は、どんなトレーニングをされていたのでしょうか?
【鈴木】走り込みやウェイトトレーニングを重点的にやることができたので、それは良かったですね。やっぱり強いパンチを打つには足が大事なので、しっかり強化できたから自分のパンチが当たったら誰でも一発で倒れますよ。
――逆に千裕選手のパンチで倒れなかった選手って、いるのでしょうか?
【鈴木】いないですね。(去年7月に対戦した)ピットブル選手も、当時のパウンド・フォー・パウンドで1位で、ベラトールで2冠を獲って、1回も倒されたことがない選手って聞いてましたけど、そんな選手を倒せたってことは、自分のパンチに自信を持っていいし、やってきたことは間違ってなかったって思いました。今回のクレベル戦もこのパンチでしっかりKOします。
■「負けた試合から修正して活路を見つける。それが格闘技の楽しいところなんです」
――前回のクレベル戦はノーコンテストという結果ですが、試合はクレベル選手が千裕選手の腕を極めて一本を取りました。その時の悪いイメージは千裕選手の中には残っていますか?
【鈴木】もちろんあるんですけど、いかにそこを修正して勝つための活路を見つけるか、それが格闘技の楽しいところなんです。なかなか一般の方には理解されないところなんですけど、自分がどんな練習をして、どういうふうに克服するか考える。それがやっぱり面白いですし、それを試合で実践して勝った時は最高に楽しいですよ。
――会見ではクレベル選手が一本、千裕選手がKOを狙うとお互いに宣言されました。
【鈴木】僕は前回できなかったことをやる、クレベル選手は引き続き同じことをやる、これが今回の試合のテーマになっていると思います。ファイターとしてのチャートを作ったら僕は打撃、クレベル選手は寝技がぶっちぎりで突出しちゃってるんですよ。自分がいくら練習をしたところでクレベル選手に寝技で勝つのは難しいし、逆にクレベル選手が僕と打撃勝負をしようと思って今から練習しても勝つのは難しい。だから、今回は自分の個性を伸ばしきったほうが勝つんじゃないですか。
――大みそかの試合は2022年に続いて2度目ですが、何かとバタバタする年末の試合は準備が大変ですか?
【鈴木】まったく関係ないですね。僕にとっては普通に1つの試合です。昔からハロウィンとかクリスマスとかイベントが嫌いで、大みそかも好きじゃないので、試合をしていることが幸せですね。季節についても、夏は汗をかくから体重が落ちやすい、冬はそれに比べて落ちにくいので、そこをちょっと考えるくらいで問題ないです。
――SNSでは王者になった1年を振り返り、「俺の会長の夢叶えないといけないからこんな所で止まってる時間はねんだよ!」と投稿していましたが、叶えたい会長の夢とは?
【鈴木】ちょっと会長に聞かれるのも恥ずかしいんですけど…、ざっと言うと「会長が間違っていなかったことを証明する」です。どうやって証明していくのか、それは僕の今後を見ていただければ、わかっていただけると思います。
――ファイターとして自分の生き様と闘いで見せていくんですね。SNSについて、千裕選手が更新頻度を意識的に減らしていると感じたのですが、どんな意図があるのでしょうか?
【鈴木】そうですね、意識的にSNSを避けているっていうのは確かにあるんですけど、やる意味がないって感じてしまって。やったほうがいいっていう意見もありますけど、自分はそんなに器用にできるタイプでもないですし。気分が変わったらまたやるかもしれないけど、それまで自分は試合で見せていくので。
――SNSは良い面も悪い面もありますよね。
【鈴木】僕は昔からなんですけど、変えられないものを変えようとする行為がすっごく嫌いだし、私生活に干渉されるのも好きじゃないんです。格闘技の練習のシーンを投稿するのは別にいいんですけど、プライベートでどこに行ったとか、何を食べたとか、そういうことを投稿するのは好きじゃなくて。例えばアメリカに行って「ハンバーガーを食べました」ってアップしても、別にどうでもいいじゃないですか。もしかしたら「こういうのを食べるんだ」って気にしてくれる人もいるかもしれないけど、今はそういうことをやるのは違うなって思っています。
■「クレベル戦に向けて何が必要なのかはわかっているので、それを追求していきます」
――大みそかの試合まで2ヶ月を切りましたが、特別な練習は考えていますか?
【鈴木】特に海外に行くとかはなくて、今までと同じことをそのまんま繰り返してやるだけです。クレベル戦に向けて何が必要なのかはわかっているので、それを追求していきます。
――前回の金原正徳戦の前はタイに行って、食あたりになって大変だったんですよね。
【鈴木】試合前には行かないほうがいいですね(苦笑)。海外だと蜂窩織炎(ほうかしきえん)という感染症をもらってしまうこともあるし、それが原因で欠場する選手もけっこう多いですから。日本人は抗体がないし、海外は不衛生な所も多いですから。自分は日本人なんで、日本が好きだから、日本がいいです。
――今回が10回目の大みそか大会ですが、これまでRIZINの顔として活躍してきた朝倉兄弟が同時に去り、今後は王者の千裕選手に名実ともにRIZINの顔になることが期待されます。そういう期待を背負う覚悟は強いでしょうか?
【鈴木】そうですね、僕が10回目の大みそかをKOで勝って、神の子になりますよ。“天下無双の稲妻ボーイ”で、戦っているリングがRIZINで、本当の「雷神(ライジン)」になります。試合が年越しになるみたいだから2025年の一発目の雷をリングに落としますよ。大みそかにKO勝利したらリングネームを「雷神」に改名しますよ(笑)。来年は“天下無双の雷神”です!
◆11・17『RIZIN LANDMARK 10 in NAGOYA』
会場チケット&前売りPPVチケット発売中
◆12・31『RIZIN DECADE』
会場チケット
ファンクラブ先着先行:11月11日正午〜13日午後6時
オフィシャルサイト先着先行:11月15日正午〜午後6時
一般発売:11月24日午前10時〜
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