【ニューヨーク時事】米大統領選でのトランプ前大統領勝利を受け、米国で事業展開する日本企業が影響を注視している。電気自動車(EV)購入や脱炭素関連施設の整備などへの巨額財政支援のほか、メキシコなどからの輸入車に対する関税の取り扱いが焦点だ。
バイデン政権下では、気候変動対策に史上最大規模の3910億ドル(約60兆円)を充てるインフレ抑制法が成立。実際の必要見通し額は大幅に上振れしており、来年期限を迎える「トランプ減税」の延長を目指すトランプ氏は、財源確保のためにも支出を見直す可能性が高い。
インフレ抑制法で真っ先に修正対象となりそうなのが、EV購入者に対する最大7500ドルの税額控除だ。日系自動車各社は今後、米国でのEV生産を本格化させる構えだが、「税額控除がなくなれば打撃」(関係筋)という。ただ、トヨタ自動車やホンダはハイブリッド車(HV)の販売が好調のため、需要動向に合わせ調整する余地がある。
一方、空気中から二酸化炭素(CO2)を回収し地中に埋める「CCS」や、クリーン水素製造といった事業への支援はトランプ政権でも続くとの見方が強い。日本の商社なども積極的に資金を投じており、関係者は「南部テキサス州など共和党の支持基盤を中心にプロジェクトが進んでいることから、手を付けられないだろう」と指摘する。
関税引き上げリスクも悩みどころだ。特に、トランプ氏はメキシコからの輸入車に200%超の関税を課すと主張。実現すれば、メキシコ工場で生産し、輸入する自動車各社の事業モデルが成り立たなくなる。ただ、米メーカーが最も悪影響を受けるとみられ、高関税適用には懐疑的な声もある。